「IBM Services AI Enterprise Knowledge Foundation」は、AI活用の戦略策定から導入支援、AI人材の育成といった多様なサービスをまとめたサービス群と、データ、アルゴリズム、モデルなどのAI資産を公平性かつ透明性を保ちながら統合的に管理してシステム構築・運用の品質向上や大幅な効率化を推進するツール群で構成される。
IBMビジネス・バリュー・インスティテュートが最近発表した「AI 2018レポート」によると、企業の82%、そして好調な企業の93%が、収益の確保を主眼にAIの採用を検討または推進しているという結果がある。また、60%は責任問題を危惧しており、63%にはAIの可能性を引き出すスキルを持っていないことが分かった。このレポートでは、AIの採用は、金融サービスなど、よりデジタル化された産業で進んでおり、今後さらに加速する可能性があるとしている。
企業のAI活用が急速に広まる中、1つの業務や事業部が実証を行う段階から、企業全体でのAI活用の時代へと進化しつつある。IBM Watsonを早期に本番導入した企業では、Watsonを複数の業務プロセスに拡大して活用する事例が増えている。
こうした先進的な企業では、AIを企業全体として戦略的に展開・管理することが新たな課題となっている。そのため日本IBMは、AIのシステム開発から継続学習までの一連のサイクルをサポートし、公平性および透明性を担保しながら業務の効率化を支援するサービス群およびツール群を発表するという。
「IBM Services AI Enterprise Knowledge Foundation」はサービス
1. AIマネジメント支援:AI活用のための戦略策定、ロードマップの作成や管理、投資対効果のモニタリングなどを行う。
2. AIガバナンス支援:管理プロセスを定義して実行したり、訓練データ、モデル、アルゴリズム、検証データといったAIナレッジの管理を行う。
3. AIプロジェクト導入支援:新規プロジェクトを推進するためのユースケースの定義や、技術検証支援、本番導入支援を行う。
4. AI運用・再学習支援:既存プロジェクトにおいて、目標値(KPI)に対するダッシュボードの構築や運用、さらなる品質向上のための再学習を実施。
5. AI人材育成・スキル移管支援:データサイエンティストの育成支援や、AIシステムに関するスキルの提供を行う。また、AIの全社展開を図るための横断的な組織(COC: Center of Competency)を設立するための支援も行う。
また、日本IBMが多数の顧客におけるAIシステムの本番稼働を支援してきた実績をもとに、AIシステムに関するデータ、アルゴリズム、各種ツールなどの資産を統合的に管理して再利用を可能にするツール群を整備している。
9月19日(米国時間)にIBMが発表した、AIによる意思決定のバイアスを検出・軽減するソフトウェア・サービスであるTrust and Transparency capabilitiesも当ツール群に含まれる。AIの統合開発・分析環境であるWatson Studioやデータの統合管理基盤であるKnowledge CatalogといったWatson製品を併せて活用することで、IBM製品だけでなく、OSSも含めたAIシステム資産を管理し、高度な専門性がなくても容易に利用できることも特徴だとしている。
さらに、過去のプロジェクトで利用したデータやコードを検索して再活用することでAIモデルを迅速に実現するためのツールや、データ準備や学習プロセスに必要な工数を効率化する方法論などをアセットとして提供することで、効率よく、品質の高いAIの開発・運用を支援していくという。