富士通と米マイクロソフトは、2017年12月より開始されたAI分野での戦略協業において、働き方改革の領域でのソリューションを共同で開発してきた。
このサービスは、その第1弾として、富士通で実施した2000人規模の社内実践から得られた知見を活かし、マイクロソフトの統合ソリューション「Microsoft 365」を利用することで蓄積されたメールやスケジュールなどのビッグデータやPCの利用状況を、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」で解析し、業務内容の分類や可視化を行うものだという。
企業は、それらの結果をもとに、現状の働き方における課題を抽出し、重点的に改善することで、よりクリエイティブな業務へシフトし、多様で柔軟な働き方が可能になるとしている。
サービスの特徴
このサービスは、マイクロソフトの「Microsoft 365」を利用することで「Microsoft Azure」に蓄積されたメールや文書のタイトル、スケジュールなどのビッグデータおよびPCの利用状況を、富士通研究所の研究成果が集約された「Zinrai」の自然言語処理技術と知識処理技術を用いて解析し、業務内容を分類し可視化するもの。
どのような仕事にどれだけの時間を費やしているかを把握するため、業務内容を「作業」「対象」「テーマ」の3つの角度から解析する。また、マイクロソフトの対話型データ視覚化ツール「Microsoft Power BI」との連携により、解析結果を可視化し、多角的な分析を可能としている。
これにより、現状の業務内容における課題を具体的に把握でき、さらに可視化された結果を活用することで生産性向上に取り組み、効果を定量的に把握・検証することが可能になるなど、企業の生産性や業務の質の向上を実現する。
同時に、導入支援や働き方改革に向けたシナリオ作成のコンサルティングなどの各種サービスとあわせ、本サービスの導入から継続的な効果のモニタリングまで、働き方改革をトータルに支援する。
富士通における社内実践の概要
富士通は、ソリューション開発に先立ち、2018年7月から、AIによる日々の業務の分類・可視化の精度向上を図る社内実践を開始した。具体的には、AI技術「Zinrai」を活用し、従業員約2000人の「Microsoft 365」のデータやPCの利用状況から、従業員1人ひとりがどのような作業を、どのような目的で、誰と行っているかを軸に業務内容を分類し、どのような仕事にどれだけの時間を費やしているかを可視化し、さらにダッシュボードで分析、評価した。
先行トライアル部門では、課題として見えてきた会議やコミュニケーションスタイルの見直しに取り組み、1人あたり平均で43分/日の時間を創出した。これにより、企画業務などにより注力することが可能となり、業務全体のうちコア業務の割合を16%増加させた。
今後は、このサービスとマイクロソフトのコミュニケーション状況や時間の使い方を分析する「Microsoft Workplace Analytics」とを連携させることで、会議や日常のコミュニケーションの質を高め、さらなる働き方改革の促進を支援していくという。