2018年は市場規模4兆1,214億円で前年比1.5%とプラス成長を予測
これによると、2018年の国内SMB IT市場においては、2020年1月のWindows 7のサポート終了に伴うPCの更新需要に加えて、同じく2019年10月に予定されている「消費税増税/軽減税率制度」への対応を目的にした関連システムの刷新、改修が見込まれることから、市場規模は4兆1,214億円で前年比1.5%とプラス成長を予測している。
従業員規模別でみると、2018年におけるPCの更新需要の拡大によって各企業規模でプラス成長を見込んでいるが、小企業(従業員規模:1~9人)、小規模企業(従業員規模:10~99人)、中小企業(従業員規模:100~499人)では、サーバー、ストレージといったオンプレミスに関連する支出は低調とみている。
中堅企業(従業員規模:500~999人)では、大都市圏を中心に業績が好調な企業を中心にシステム刷新/開発が継続している。2019年においても、各従業員規模でPC更新需要、および「消費税増税/軽減税率制度」対応を目的としたシステム刷新/改修を目的としたIT支出の需要が見込まれることからプラス成長を予測している。
2020年は、前年までのIT支出の反動によって、小企業、小規模企業でマイナス成長に落ち込むが、中小規模や中堅企業では、引き続きシステム刷新、新規開発が継続することから、IT支出が拡大するとみている。
2020年以降、一旦低い成長率となるが、その後緩やかに回復
産業分野別でみると、2018年は各産業分野でプラス成長を予測している。特に情報サービス、製造、医療、金融において高い成長率を見込んでいる。特に情報サービスでは、業績が好調なインターネットサービス事業者を中心にセキュリティ強化、ならびに決済など新たなサービスを開始していることから、IT支出は拡大している。
一方で、流通では、大都市圏における人材不足の解消のための業務効率化を目的とした投資に加えて、インバウンド需要への対応を目的としたIT支出が拡大しているが、大都市圏以外の地域では業績が低迷し、IT支出を抑制する企業が多く、IT支出全体ではプラス成長ながら1%台の成長率に留まるとみている。
国内SMB IT市場は、2019年までプラス成長を予測している。2020年は、消費税増税、「東京オリンピック/パラリンピック」終了後の反動に伴い一旦低い成長率となるが、その後緩やかに回復するとみている。ITサプライヤーは、2020年以降の国内SMB IT市場の拡大に向けて、第3のプラットフォーム、およびイノベーションアクセラレーターを活用したソリューションの積極的な展開が求められる。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの村西明氏は、「ITサプライヤーは、直近の業務効率化/生産性向上を目的とした案件に加えて、SMBとの共創による新たなソリューション開拓および、高い成長が継続するクラウドやビジネスサービス領域の強化を行い、新しいビジネス推進体制へと変革する必要がある」と分析している。
今回の発表はIDCが発行した「国内SMB IT市場 産業分野別予測、2019年~2022年」にその詳細が報告されている。