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IoTを実装している組織の75%がデジタル・ツインを使用しているか1年以内に使用する予定――ガートナー発表

 ガートナーは、デジタル・ツインの定義を、「資産の状態に対する理解、変化への対応、ビジネ ス・オペレーションの改善、付加価値の提供を目的として、物理的な実体を表現するソフトウェ ア設計パターン」としている。

 ガートナーのアナリストでバイス プレジデントであるベノア・ラルー氏は、「この調査結果は、過去の調査結果に比べて、デジタル・ツインの採用が徐々に主流になりつつあることを示しています。2022年までに、IoTを実装した企業の3分の2以上が、少なくとも1つのデジタル・ツインを本番環境に導入するようになると、ガートナーは予測しています。しかし実際には、これが今後1年以内に達成される可能性もあります」と述べている。

 デジタル・ツインを既に使用していると回答した組織は13%にとどまるが、62%はデジタル・ツインの使用を確立している最中か、1年以内の確立を予定している。このように急速に採用が拡大している背景には、テクノロジ・ベンダーによる大規模なマーケティングや教育が行われている状況がある。そのほか、デジタル・ツインがビジネス価値をもたらしており、 企業のIoT/デジタル戦略の一翼を担う存在となったことも理由として挙げられる。

 ラルー氏は、次のように付け加えている。

 「デジタル・ツインの採用はあらゆる業種の組織で確 認されていますが、採用が最も進んでいるのは、IoT接続製品の製造企業です。デジタル・ツインによって、製品を差別化して新しいサービスや収益源を確立するという機会は、こうした業種にとって明らかなビジネス推進要因となるからです」。

デジタル・ツインは複数の利用者層にサービスを提供する

 IoTを実装する企業にとって重要な要素は、デジタル・ツインが社内外のさまざまな利用者にサービスを提供していることにある。回答企業の54%は、デジタル・ツインの大部分が1つの利用者層だけを対象にしているが、複数の利用者層を対象にすることもあった、と報告している。

 また、およそ3分の1の企業は、大部分またはすべてのデジタル・ツインが複数の利用者層を対象にしていると回答している。例えば、コネクテッド・カーのデジタル・ツインの場合には、メーカー、顧客サービス・プロバイダー、保険会社といった、IoTデータのニーズがそれぞ れ異なる利用者層による活用が考えられる。

 デジタル・ツインの利用者層は幅広く、IoTデータを社内で利用する従業員やセキュリティ担当者、顧客やサービス提供者などのビジネス・パートナー、およびIBMやMicrosoftなどのテクノロジ・プロバイダーが含まれる。

 ラルー氏は、「このような所見には、デジタル・ツインが多岐にわたるビジネス目標のために導入されていることが表れています。デジタル・ツインの設計に当たっては、複数のデータ利用者のニーズに対応し、適切なデータ・アクセス・ポイントを提供する必要が多分に生じることを考慮すべきです」と述べている。

デジタル・ツインは相互に統合されることがある

 複数のデジタル・ツインを展開している組織では、それらの統合が理にかなう場合がある。例えば、産業用のバルブ、ポンプ、ジェネレータをIoTに接続している発電所では、機器ごとのデジタル・ツインと共に、あらゆる機器のIoTデータを集約して全体的な動作を分析する複合的なデジタル・ツインも必要だ。

 そのような設定は非常に複雑だが、デジタル・ツインを実装している組織の61%は、既に少なくとも1組のデジタル・ツインを相互に統合している。さらに、デジタル・ツインをまだ統合していない組織の74%が、今後5年以内に統合を実施すると予想される。

 しかし、この結果を反対の視点から捉えると、デジタル・ツインを実装している組織の39%はデジタル・ツインをまだ統合しておらず、デジタル・ツインをまだ統合していない組織の26%は5年以内に統合する計画も立てていないともいえる。

 ラルー氏は、「上記の結果からは、関連する資産や機器のデジタル・ ツインを相互に組み合わせて展開する傾向が高まっていることが分かります。しかし、依然と して真の統合は比較的複雑であり、高次の統合と情報管理のスキルを必要とします。物理的 な資産や機器の進化に伴い、デジタル・ツインを相互に統合する能力が将来の差別化要因 になると予想されます」 と述べている。

 なお、ガートナーは、3月12日(火)・13日(水)に東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)において「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・ アーキテクチャ サミット 2019」を開催する。

 サミットでは、「アプリケーション戦略をネクス ト・ステージへ ~ビジネスの変革と成長を牽引せよ~」をテーマに、アプリケーション戦略とアプリケーション・アーキテクチャを刷新し、デジタル・ビジネス・テクノロジ・プラットフォームの構築を通して企業の変革と成長を実現するためのヒントを提供するという。

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