国内カスタマーケアBPOサービス市場は人材不足の影響を強く受ける
国内人事BPOサービス市場は、前年から2年連続で主要4業務の中で最も高い成長率を示した。優秀な人材の誘致、従業員の健康維持/向上、非正規労働者の待遇改善などに対応する需要の拡大を背景に、主に福利厚生業務が成長を牽引した。2019年以降も予測期間に渡ってこの傾向が継続するとみられ、同市場は好調に推移するとIDCではみている。
国内カスタマーケアBPOサービス市場は人材不足の影響を強く受けており、オペレーターの人件費が上昇傾向にあるが、近年は顧客の理解が進んでいることから価格に反映しやすい状況になっている。
さらに、電気/ガスの小売自由化や、製造業の企業による小売への取り組みなどといった異業種への参入増加に伴い、自社にノウハウのないカスタマーケア業務の外部委託需要が高まっている。このような傾向は2019年以降も継続し、同市場は堅調な成長を維持するとIDCではみている。
人材不足に悩む事務集中センター/シェアードサービス会社や地方公共団体に注目
国内財務/経理BPOサービス市場においては、単純な記帳代行業務は縮小傾向にある一方で、業務改革の一環として財務/経理業務全体を外部委託したいとの需要や、さらにこれを起点とした間接部門を包括的にサポートするサービスに対する需要は高い状態が続いている。
人材不足を背景としたRPA(Robotic Process Automation)に対する注目度の高さにも支えられ、同市場は2019年以降も安定した成長を続けるとIDCではみている。
国内調達/購買BPOサービス市場では、大企業においてはコスト最適化を目指す間接材調達/購買業務の集約化に対する需要が高い状態が続いており、また中堅/中小企業においても人材不足への対応やコスト削減が課題となっている。
これをサポートするためのITシステムを活用したサービスの展開も進んでおり、これらに支えられて2019年以降も同市場は比較的高い成長率を維持するとIDCではみている。
間接部門を中心に企業や団体の人材不足はますます深刻化し、テクノロジーの導入もそれを背景とした効率化、省力化という側面が強くなっている。
IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストである吉井誠一郎氏は、「国内BPOサービス事業者は、人材不足に悩む大企業の事務集中センター/シェアードサービス会社や地方公共団体の取り込みを狙うと共に、ITシステムを活用して可能な限りサービスのプラットフォーム化を推進すべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場予測、2019年~2023年」にその詳細が報告されている。