共同調査研究の目的として、次の3点があげられている。
- RPAを活用することにより、業務フロー全体の処理時間の削減を図ることが可能かどうかの検証
- 既存の複数システムとの連携が可能であり、処理プロセスにおいてロボットの作業を中断また、再開する事がRPAで可能かどうかの検証
- 将来に向けてRPAの活用範囲領域の拡大可能性についての検証
対象業務と検証結果(年間)
■旅費支給事務
認証ポータルにログインし、庶務事務システムから旅費精算書をダウンロード、財務会計システムでの支出命令書作成、文書管理システムでの回議までを、人の処理を組入れた状態での自動化が可能な事を確認できた。
例えば、庶務デスクにおける経路審査段階でのロボット中断、人による確認後、ロボットを再開し、その後の処理が問題無く稼働する事を確認した。
・市内出張のルート確認と旅費の支払い
[削減効果] ロボット化部分:3,145.8時間、33.1%削減
現行業務比較:6,517.9時間、50.6%の削減(業務フロー見直し含む)
■物品購入事務
発注伺等の必要ファイルを作成し、認証ポータルにログイン、財務会計システムでの契約登録、文書管理システムでの支出命令書の回議までを、人の処理を組入れた状態での自動化ができることを確認できた。
例えば、発注伺い精査段階等でのロボット中断、人による承認後、ロボットを再開し、その後の処理が問題無く稼働する事を確認した。
・事務用品その他の全庁的に購入するもの
[削減効果] ロボット化部分:761.9時間、54.7%削減
現行業務比較:4,509.1時間、87.7%の削減(業務フロー見直し含む)
・各事業で個別に購入するもの
[削減効果] ロボット化部分:6,055.7時間、32.5%削減
現行業務比較:23,066.0時間、65.6%の削減(業務フロー見直し含む)
総括
・事前に作成された新業務フローにおけるRPAの対象となるスコープの明確化、開発における課題を常に共有しつつ進めることにより、手戻りなく調査研究を進めることができた。
・利用者側と開発者側が分かれていたことにより、ロボットによる処理手順を検討する際に、その組換えにより、より効率化が図れる部分を見出すことができた。
・調査研究を通していくつかの課題「ITガバナンス」「RPAによる業務プロセス自動化に対する信頼性」「業務分析の重要性」等が明確化された。
・今後、検討すべき課題や将来の展望が明確になると共に、一方で、今回開発したものが他課での再利用可能な部分も多くあり、他業務に関してのRPA導入の際の開発期間の短縮や将来的な組織変更や業務フローの変更時においても、柔軟かつ短期間での改修や保守が可能であることが想定される。