ERP市場のCAGR(2017~2022年度)は8.4%の安定した伸びを予測
国内ERP市場の2017年度の売上金額は884億円、前年度比9.3%増となった。大企業を中心に基幹システムへの投資は着実に進んでおり、2018年度も同9.4%増の堅調な伸びを見込んでいる。今後も一定の割合で基幹システムへの投資は行われると見込まれることから、同市場のCAGR(2017~2022年度)は8.4%の安定した伸びを予測している。
同市場を、パッケージとSaaSの提供形態別に分類すると、パッケージ市場のシェアは年々減少傾向にあり、SaaS市場が急速に拡大している。2017年度のSaaS市場の売上金額は前年度比38.7%増の190億円となった。2022年度には、SaaS市場がERP市場の半数近くに達すると予測している。
2020年度にはIaaSでの運用がオンプレミスを上回る
次に、パッケージ市場をユーザー企業運用形態別に見ると、オンプレミスで運用する形態が年々減少し、IaaSでの運用が急速に拡大している。なかでもAmazon Web Servicesでの運用比率が拡大しており、Microsoft Azureや各ベンダーが独自に提供するIaaSがそれに続いている。その結果、2020年度にはIaaSでの運用がオンプレミスを上回ると見ている。
また、2022年度には、SaaSとIaaS運用のパッケージがERP市場の約9割を占めると予測している。
ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は、「国内および世界経済が不連続・不透明な様相を強めていくなか、企業はデジタル化への取り組みを強化するとともに、ビジネスの基盤となる基幹システム刷新への投資を継続しています。中長期的に労働人口が減少していくなか、国内ERP市場規模そのものが大きく拡大することは考えにくいですが、使い続けるシステムの代表であるERPへの投資は、景気が後退傾向になったとしても堅調に推移していくと予測されます」とコメントしている。
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート「ITR Market View:ERP市場2019」に詳細が掲載されている。レポートには、ERP市場を対象に、国内47ベンダーへの調査に基づいた2016~2017年度売上げ実績および2022年度までの売上げ予測が掲載されている。