中国における投資額は前年比約9倍の255億ドルに達した
この成長の主要因は、中国における投資額が前年比約9倍の255億ドルに達したことであり、これはグローバルにおける2017年のフィンテック投資総額の267億ドルに迫る勢いだという。2018年のフィンテック投資総額のうち46%を中国が占めている。
米国における投資額も急増し、前年比49%増の170億ドルに達した。米国はこれまで、フィンテック投資に関して最も規模が大きい市場だった。
英国における投資額は、前年比50%以上増の39億ドルに達した。英国におけるフィンテック投資で最大の恩恵を受けたのは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)などのデジタル技術を活用し、非金融企業と情報を共有しながら新たな決済や融資といったサービスを提供するチャレンジャーバンクだった。
日本を含め、世界の他の国々でも投資は好調であり、日本、中国、オーストラリア、ブラジルでは過去最高額を記録した。具体的には、日本では前年比5倍以上の5億4200万ドル、オーストラリアでは2倍以上の7億5700万ドル、カナダでは53%増の9億6100ドル、ブラジルは38%増の5億8,700万ドルだった。
投資案件数も大幅に増加し全世界で前年比約19%増
フィンテックの投資案件数も大幅に増加し、全世界で前年比約19%増となる3,251件に達した。中国の投資案件数は2倍以上増加して348件となり、1,100件以上の投資が行われた米国と比べ、中国の活気あるフィンテックエコシステムにはまだ成長の余地が大いにあることが浮き彫りになった。
英国でも投資案件数が25%増加し、シンガポールは16%増、日本は3倍近くまで投資案件数が伸長した。
アクセンチュア 常務執行役員 金融サービス本部 統括本部長の中野将志氏は、次のように述べている。
「日本では、横断法制の検討と規制緩和が進み、潜在的な社会課題解決ニーズに根差した金融イノベーションを起こす素地が整いつつあります。今後は、産・官・学連携による地域課題・社会課題への挑戦を進めるとともに、自国経済規模を超える投資を呼び込み、グローバルハブとなる次なるステージに向けて、世界最先端のイノベーション創出と日本から世界に展開される環境づくりが求められています」。
■調査概要
この調査は、グローバルでベンチャー企業の財務データ収集・分析業務を行う調査会社「CB Insights」が提供するフィンテック投資データに基づいてアクセンチュアが分析を加えたもの。
調査対象には、ベンチャーキャピタルおよび未上場企業、株式会社および企業のベンチャーキャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンドなどにおける国際的な投資活動が含まれている。
また、対象となるデータは2010年から2018年までのもので、エクイティおよび非エクイティの融資が含まれる。
レポートでは、フィンテック企業を、銀行業務やコーポレートファイナンス、キャピタルマーケット、財務データ分析、保険、決済や個人向けの財務管理などに関して様々なテクノロジーを提供する企業と定義している。