発表によると、2018年第4四半期と比較してマルウェアの総検知数は62%の大幅増を示しており、レポートでは、サイバー犯罪者が不正なMicrosoft Officeドキュメント、Macマルウェア、Webアプリケーションエクスプロイトを含む、広範囲に及ぶ多彩な攻撃テクニックを駆使していると報告している。
こうした結果は、2019年に入ってハッカーが偽のOfficeドキュメントや他の攻撃手段を活用することにより、ID情報の窃取やランサムウェアといった広く知られている戦術をさらに強化していることを裏付けており、広範かつ多様な脅威ベクタ―に備えるべく、組織は高度な防御体制を敷くことが求められるとしている。
2019年第1四半期の主な調査結果
・攻撃者が引き続き不正なOfficeドキュメントを利用
2019年第1四半期では、Fireboxの17%以上が不正なOfficeドキュメントを防御し、このカテゴリにおいて最も拡散したマルウェアリストに2つの脅威がランクインしており、1つがトップ10マルウェア攻撃のリストに入っている。
これらの不正なドキュメントの半数はEMEAで防御されており、東ヨーロッパの国々で顕著な傾向が見られた。ユーザは、不審なOfficeドキュメントの開封を避け、マクロを有効化しようとする添付ファイルの脅威に留意するべき。
・Mac OSマルウェアが増加
Macマルウェアは、2018年第3四半期のウォッチガードのトップ10マルウェアリストに初めて登場し、現在2種類の亜種が流行しており、それらは2019年第1四半期のリストにランクインしている。
こうしたMacベースのマルウェアの増加は、Macはウイルスやマルウェアとは無縁であるといった神話が崩れ、全てのデバイスやシステムに対する高度な脅威保護の仕組みを導入することの重要性が高まっている。
・WebアプリケーションがSOARをエクスプロイト
第1四半期ではネットワーク攻撃の総数は減少したが、Webアプリケーション攻撃は急激に増加した。ウォッチガードのIPSサービスは、ID窃取の一般的な手法である多くのクロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクション(SQLi)の脆弱性をエクスプロイトする攻撃者を防御した。
今回2つのSQLi攻撃がウォッチガードのトップ10ネットワーク攻撃リストに登場し、Web XSS攻撃の1つがネットワーク攻撃のトップ10リスト全体の10%以上を占めた。
・DNSフィルタリングが500万以上の不正サイトを防御
ウォッチガードのDNSWatchサービスでは、5,192,883件に及ぶ不正なディスティネーションへのアクセスの試みを阻止し、また既知のマルウェアをホスティングするドメインへの接続で50万件以上、感染したWebサイトへの接続数187,101件、そして既知のフィッシングサイトへの接続数61,096件を防御した。
感染したWebサイトの特定と防御は困難な場合があるため、DNSレベルのフィルタリングは、ユーザが意図せずにマルウェア感染、ID窃取、あるいはボットネットのC&Cシステムの被害に遭わないためには非常に重要となる。
・ファイルレスマルウェアが台頭
今期は、ファイルレスの脅威がウォッチガードのトップ10マルウェアおよびトップ10ネットワーク攻撃リストに登場した。マルウェアサイドでは、PowerShellベースのコードインジェクション攻撃が第1四半期に初めてトップ10リストに入り、著名なファイルレスのバックドアツールとして知られるMeterpreterもネットワーク攻撃のトップ10リストに登場している。
この2つの傾向は、サイバー犯罪者が回避型の脅威カテゴリの利用に引き続き着目していることを示唆している。
・Mimikatzマルウェアが73%急増し、脅威ランキングのNo.1を維持
この著名なオープンソースツールは、第1四半期で発見された全てのマルウェアの20.6%を占め、一般的にパスワード窃取に利用され、多くのネットワーク侵入の裏で暗躍している。Mimikatzは、ウォッチガードのトップ10マルウェアリストの常連であり、個々のアカウントで個別に長く複雑な文字列のパスワードを設定することの重要性が浮き彫りにされた。
さらに、サイバー犯罪者は継続的してID窃取にフォーカスしているため、組織は規模を問わず多要素認証ソリューションを採用し、正規のユーザアカウントへの攻撃を阻止する必要がある。