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5G技術は「過度な期待」のピーク期に到達 ガートナー、インフラ・テクノロジのハイプ・サイクルを発表

 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」を発表した。

 本ハイプ・サイクルでは、インフラストラクチャのテクノロジのうち、特に未来志向型と捉えられるものや、トレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを取り上げている(図参照)。

図1.日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年「出典:ガートナー(2020年9月)」

図.日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年「出典:ガートナー(2020年9月)」

 2020年版の本ハイプ・サイクルには、「ヒューマン・オーグメンテーション」が新たに追加されている。2019年版で「過度な期待」のピーク期に入った「5G」はさらにポジションを進め、2020年版では頂点に位置付けられている。

 また、2019年版で幻滅期の谷に向かっていた「モノのインターネット」「量子コンピュータ」「DevOps」「人工知能」「スマートロボット」「ブロックチェーン」「拡張現実(AR)」は、2020年版でも同様に谷底へ下降し続けている。一方、同じく幻滅期にある「ロボティック・プロセス・オートメーション」と「デジタル・ヘルス」は谷底を脱し、本格的な普及期に移り始めた。

「過度な期待」のピーク期に位置する「5G」

 COVID-19のパンデミックを受け世界各国でビジネスが停滞していることから、2020年に予定されていた5Gの標準化や開発関連の動向にも影響が及び、検証などが遅れているケースが見られる。その一方で、5Gを介したリモートからの各種作業の支援などに対する期待が膨らんでおり、移動体通信事業者やサービス設備を提供するベンダーが既にさまざまな検証を実施している。

 現在は、標準化が待たれる機能を含め、商用化に向けた準備がさらに進むフェーズに入っている。5Gには、携帯電話やスマートフォンに向けた単なる通信サービスではなく、自動車や工場、店舗、家電製品など多様なモノのデジタル化をスコープに入れたテクノロジとして開発されている背景があるため、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の導入を加速させ、デジタル化を大きく促進する可能性も秘めている。

普及が進む「ロボティック・プロセス・オートメーション」と「デジタル・ヘルス」

 2020年現在、日本のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)市場の成長と大規模化により参入ベンダーが増え、ベンダー間の競争も激化している。一部にはRPAの継続利用を見直す企業が見られるものの、多くの企業はRPAの実態を理解。そして、過剰な期待を抱くことなく、RPAや関連隣接領域のベンダーやテクノロジの動向を注視しながら、同テクノロジの適用範囲の拡大について現実的な取り組みを始めている。

 さらには、COVID-19の影響を受けた業務コスト削減やリモートワーク実現のための施策として、RPAによる業務自動化をいっそう加速させる動きが見られるため、適用領域は予想以上のスピードで拡大する可能性がある。市場のRPAに対する現実的な理解が深まったことで、同テクノロジは幻滅期の底を打って本格的な普及を目指し始めている。

 ガートナーは、ヘルスケア業界におけるデジタル化のトレンドを「デジタル・ヘルス」と総称している。2020年には、COVID-19の拡大に伴い、多くの医療機関がオンライン診療を開始。また多数の自治体において、COVID-19に関する質問に自動で回答するチャットボットの導入が進んだ。デジタル・ヘルスはさまざまな分野で改めて注目を集めており、2020年から2021年にかけ、COVID-19対策として、新たな投資対象として大きなテーマになるとガートナーはみているという。

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