日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、東京大学とIBMによる「Japan IBM Quantum Partnership」で表明していた「IBM Quantum System One」の国内設置拠点について、新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター(KBIC)に決定したことを発表した。
ここに設置される量子コンピューターについては、東京大学とIBMの契約に基づき東京大学が占有権を有する。同大学はこのシステムを活用し、企業、公的団体や大学等研究機関と量子コンピューターの利活用に関する協力を進めていくとしている。
「新川崎・創造のもり」地区に位置する産学交流によるインキュベーション施設 かわさき新産業創造センターは、2012年よりIBM東京基礎研究所のサイエンス&テクノロジー・グループが東京大学と共同で社会連携講座を開設し、次世代ITに関するハードウェア研究を続ける研究拠点だという。量子コンピューターの常時安定稼働には電気・冷却水・ガス等のインフラの安定供給や耐振動環境が必要だが、KBICは川崎市の全面的な支援により安定稼働に最適な環境を実現している。本設備環境の量子コンピューターの安定稼働により、同研究所が現在東京大学と進めている研究活動が加速することが期待されるという。
なお、今回設置するIBM Quantum System Oneの稼働開始は本年中を予定している。
川崎市長の福田紀彦氏は、「量子コンピューターは将来の社会・経済に多大な利益と大きな変革をもたらすことが期待され、今回新川崎へ実機が設置されることは本市はもとより日本にとっても大きな意義があるものと考えています。本市としては、量子技術の様々な分野での利活用が進み、新川崎地区が「量子イノベーション・パーク」として発展するよう取り組んでまいります」と述べている。
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