アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内の労務管理市場規模推移および予測を発表した。
労務管理市場の2019年度の売上金額は27億8,000万円、前年度比68.5%増と高い伸びを示している。2020年度も同78.4%増と2019年度を上回る急拡大が予想されるという。主要ベンダー各社の積極的なマーケティング活動により、従業員の労働環境をサポートし、企業の生産性向上への貢献が期待されるソリューションとして市場認知度が急速に高まっている。
2020年4月より社会保険・労働保険の電子申請が義務化されたことも追い風となっており、市場参入ベンダーが増加しつつあるという。同市場のCAGR(2019~2024年度)は41.6%、2024年度には160億円に迫る規模に拡大すると予測されている。
同市場を、パッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、パッケージ市場はほぼ横ばいで推移しているのに対し、SaaS市場は急速に拡大。また、主要ベンダーがSaaSでの提供に注力していることから、2020年度にはSaaSが市場全体の約9割を占める見込みだとしている。今後もこの傾向が続くと見られることから、パッケージ市場のCAGR(2019~2024年度)は0.4%とほぼ横ばいであるに対し、SaaS市場は同46.3%を予測しているという。
ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は、「労働および社会保険に関する行政手続きの電子申請の義務化にともない、紙や押印のアナログによる労務管理業務のデジタル化が急速に進展しています。労務管理市場は、参入ベンダーも増えていることから、企業規模を問わず高い成長が期待されます。また、多様化する働き方やリモートワークにも柔軟に対応できることに加えて、採用予定者にもサービスの提供が可能なことから、SaaSが圧倒的優位な市場となっています」とコメントしている。
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