電通は、2021年12月に全国の20~59歳の部長以下の従業員男女計1,000人を対象に「企業の変革に関する従業員意識調査」を実施し、その結果を発表した。
調査概要
- 調査手法:インターネット調査
- 調査時期:2021年12月17~19日
- 調査エリア:全国
- 調査対象:20〜59歳、従業員1,000人 (男女均等回収)
〔大企業従業員600人、中小企業従業員300人、ベンチャー企業100人〕- 調査主体:株式会社電通 電通ビジネスデザインスクエア
- 調査会社:株式会社電通マクロミルインサイト
調査結果からは、従業員の多くが自社の変革の必要性は感じているものの、変革に対する不安は大きいことがわかった。経営層は、自社の変革に対する従業員の期待を十分に生み出せていないという実態が浮き彫りになったという。企業の変革を促進するには、従業員が納得するビジョンを策定し、変革に対するエンゲージメント(企業の変化に関する自分ごと化、参画)を高めていくことが必要であるとしている。
クラスター分析について
今回の調査では、大企業の従業員(n=600)についてクラスター分析を行い、ファインディングスについての比較分析を実施した。
- CL1:自ら動き企業の変革の担い手ともいえる『変革推進層』(23.7%)
- CL2:それをフォローして変革に取り残されないようとする『変革フォロワー層』(30.3%)
- CL3:変化の必要性は理解しているが、現業が受け身の仕事で変革に貢献できず悩んでいる『現業と変化の狭間でもがく層』(7.7%)
- CL4:自社の変革に対して消極的な目線で見ている『変革他人事層』(20.7%)
- CL5:変革をフォローするよりも目の前の業務に関心が高い『結局のところ現業肯定層』(11.3%)
- CL6:就業そのものに積極的ではない『就業消極層』(6.3%)
6つのファインディングスと詳細データ
1. 変革に対して自社から情報発信がされていると回答した従業員は9割近くにのぼり、多くの企業で変革を推し進めようとしている実態が明らかになった
2. 75.3%の従業員が自社の変革の必要性を感じており、43.9%が自社の変革に期待が持てると回答。クラスターで見ると『CL3:現業と変化の狭間にもがく層』『CL5:結局のところ現業肯定層』は変化への必要性は高く感じているが、自社への期待が低い。従業員の期待をどう作るかが、企業の変革の機運づくりにおいて重要だという
3. 自社の変革に対して、「自身が何らかの行動を起こしている」と回答した従業員は32.3%にとどまる一方で、「行動していない/うまくいかない/ついていけない」と回答した層は38.3%。クラスターで見ると、『CL1:変革推進層』の半数近く(48.6%)が行動を起こしていることから、『CL1:変革推進層』は企業の変革の推進役である一方で、いかに他のクラスターに行動を起こさせるかが重要だとしている
4. 自社の変革に対して、自らが「行動していない/うまくいかない/ついていけない」と回答した方にその理由を聞いたところ、「ビジョンの提示不足・不透明さ」(27.9%)「社内における浸透不足」(26.2%)が挙げられた
5. 自社の変化に対する不安を聞いたところ、「特に不安はない」と回答した従業員は12.2%にとどまり、約9割の従業員が何らかの不安を感じていることが分かった。クラスターごとに見ると、『CL3:現業と変化の狭間でもがく層』が全体的に不安を感じている。同様に『CL5:結局のところ現状肯定層』『CL6:就業消極層』も「なんとなく漠然とした不安」や「会社がどのようなものに変わろうとしているのかが見えていない」といった不安が高いとしている
6. 変化に対して企業からどのようなサポートをされると良いか、という質問に対しては、「どのような会社になりたいか、どんな事業をなりわいにするかのビジョンの発信」(39.2%)が最も多かった。従業員の変革へのエンゲージメントにはビジョンの浸透が重要であると考えられる。クラスターで見てみると、『CL1:変革推進層』は既に行動を起こしているため、さらなる行動に向けた知識を得るためのニーズが高い。『CL3:現業と変化の狭間でもがく層』は、様々なサポートを期待する傾向があり、特に会社上層部に対する要望が多い
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