セールスフォース・ジャパンは、「Slack AI」の機能と国内提供を4月17日より開始すると発表した。昨年リリースしていたOpenAIなどのLLMと連携する「Slack GPT」を廃止し、独自のLLMを採用したものとなる。
3月28日に行われたメディア向けの会見では、セールスフォース・ジャパン製品統括本部 プロダクトマネジメントマーケティング本部 シニアディレクター山瀬 浩明氏による解説とデモが行われた。
企業の中で生成AIを活用するには、プロンプトの作成スキルが求められるが、社員のスキルにはばらつきがある。Slack AIではプロンプトは不要で、マウス操作のみで利用できる。さらに、Slack内のコンテンツを活用することで、一般的な回答ではなく、個社の事業に即した知見が得られる。また、生成したコンテンツがSlack外に出ることはないため、守秘性と安全性も担保できることが強調されている。
Slack AIの発表に先立ち、SlackのWorkforce Labが行った最新の調査では、企業が従業員向けにAIツールの活用方法に関するガイダンスを提供することで、AIツールの利用率が高まり、従業員が価値の低い反復的な業務ではなく、価値の高い業務に注力できる可能性が明らかになった。
しかし、とりわけ日本企業の場合、AIに対するポジティブな印象がグローバルで最も多いにもかかわらず、ガイダンスを受けていない社員の割合が最も多いという結果が出ている。また、グローバルと日本に特化した結果、AI利用は直近では前四半期に比べ減少している。日本企業での生成AIの普及のためには、ガイドラインの普及、チームや組織による相互学習が必要となるが、そうした課題に対しても、今回のSlack AIは有効だと山瀬氏は強調した。
デモによると、Slack内のナレッジから明確で簡潔な回答を取得する様子や、チャンネルから重要なハイライトを抽出する様子、長いスレッドの内容をワンクリックで要約してキャッチアップする様子が公開された。
たとえば、「自社の○○製品について教えて」といった質問をした場合、Slack内のオープンなチャンネルのコンテンツから適切な回答が生成される。単なる検索による膨大な数のコンテンツの表示ではなく、適切な知見が提供される。この場合、理由となる会話やコメントも明示されるため、ハルシネーションを恐れる必要はない。また、コメントやメッセージの利用は権限コントロールが施され、オープンなデータチャンネル以外の、DMの会話などの守秘性は確保されるということである。
主な特長は以下の通り。
-
検索の回答:ユーザーが会話形式で質問を投稿すると、関連する会話データに基づいて、Slack内のナレッジから明確で簡潔な回答が得られる。
-
チャンネルの要約:トピック間の移動も含め、あらゆるチャンネルで重要なハイライトを抽出できる。
-
スレッドの要約:ワンクリックで、あらゆるスレッドの会話を迅速に把握し、最新の状況に追いつくことができる。
Slack AIは、4月17日に多言語で公開と販売開始が予定されている。日本語も対応言語の一つになるが、日本語版のSlack AIのプランや価格は、その時点で発表される予定だ。