日立製作所(以下、日立)とGoogle Cloudは5月29日、生成AIによる企業のイノベーションと生産性向上を加速するため、複数年にわたる戦略的アライアンスを締結したと発表した。
具体的に日立は、Google Cloudの生成AIモデル「Gemini」やAIプラットフォーム「Vertex AI」、その他のクラウド技術を活用し、企業の課題解決を支援する新たな組織を設立するほか、Google CloudのAIを採用し、自社の製品やサービスを強化する。同提携を通じて日立は、デジタル事業の中核であるLumadaの成長を加速するとともに、全社の業務効率化や生産性向上を推進するという。
両社はGoogle Cloudのテクノロジーを新規および既存の顧客に提供するため、日立の子会社であるGlobalLogicの中に「Hitachi Google Cloud Business Unit」と「Google Cloud Center of Excellence」を設立。また、日立の「Gen AI Professional」の育成プログラムの一環として、Google Cloudの生成AI関連技術に関する研修をプログラムに取り入れる。この取り組みを通じて両社は、新設する組織における専門性とマネージドサービス力を強化し、大企業がAIを活用した運用方法を根本的に改善するために必要なサポートを提供していく。
そのほか、以下の新たな取り組みを実施していく。
新たな生成AIソリューションの開発・提供
日立は、Geminiモデルを活用し、レガシーシステムの効率的なモダナイゼーションを支援するソリューションを開発するほか、Google CloudのContact Center AIを採用する。たとえば、Google CloudのAgent Assistを活用することで、カスタマーサービス担当者は、リアルタイムでのナレッジ支援と解決策の提案が可能となるという。これらのソリューションは、AI適用において企業のニーズに対応するために設計されたGlobalLogicの「Platform of Platforms」アーキテクチャに対応している。
オンプレミス環境とクラウド環境で実現する、生成AIソリューションの利用環境
日立は、オンプレミスとクラウドの両方でIT環境を運用する顧客に対し、既存のIT環境を維持しながら、運用を刷新することを可能にするソリューションを提供。Hitachi Vantaraが提供する「Hitachi Virtual Storage Platform One」にも対応するため、同社のハイブリッドクラウドプラットフォームに保存されたデータを使用し、生成AIのアプリケーションを構築することが可能。
Go-to-marketに向けた共同施策
日立とGoogle Cloudは、営業、マーケティング、エンジニアリングの各チームの連携を強化し、日立のGoogle Cloud Business UnitとGoogle Cloud CoEを通じて、様々な業種の顧客が、生成AIプロジェクトの実行と管理において必要なリソースを利用できるようにする。
デジタル人材育成の強化
日立は、顧客のAIによる変革を支援する上で重要な役割を果たす「GenAI Professional」を、グローバル研修プログラムを通じて、5万人以上育成するという。今回の提携を通じ、日立は、Google CloudのAIソリューションなど関連技術を身につける研修もプログラムの一部に組み込む予定だ。
なお、GlobalLogicとGoogle Cloudは、15年以上にわたる協力関係を築いてきたが、その連携をさらに拡大するとしている。
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