トヨタシステムズと日本アイ・ビー・エム(以下、日本 IBM)は、IBM watsonxを活用して、COBOLやJavaのアプリケーション・プログラムの仕様書の情報をもとにソースコードを生成する「コード生成」や既存ソースコードの情報をもとに仕様書を生成する「仕様書生成」などに関する実証実験を2023年12月から開始し、実証実験の結果、有識者関与率の削減や開発生産性向上に寄与する成果が得られたことから、2024年7月から実業務への適用を開始すると発表した。
同実証実験でトヨタシステムズは、複数の開発部門にまたがる生成AI検証チームを編成して、実際の開発案件を題材とした「コード生成」および「仕様書生成」の実証実験を推進し、日本IBMは同実証実験を支援したという。実証実験の結果、有識者関与率の削減や開発生産性向上に寄与する成果が得られたほか、生成AIという最新技術を活用することで若手社員がレガシー言語にも興味を持ち、積極的に活動に取り組むという効果も確認できたとしている。
このような結果を受け、トヨタシステムズと日本IBMは、有識者の知見の生成AIの大規模言語モデル(LLM)への移植、プロンプト・チューニングによる出力結果の精度向上、トヨタ独自の開発標準書式での仕様書の出力を進めながら、仕様書からの「コード生成」とソースコード情報からの「仕様書生成」を2024年7月から実業務に適用し、アプリケーション開発の新しい業務プロセスの検討を進めていくという。加えて、生成AIとその他の技術を統合するオーケストレーターを活用して出力結果の精度を高め、さらなる生産性向上を目指すとのことだ。将来的には、生成AIの活用による省人化・自動化を進め、大規模基幹システムのモダナイゼーションのさらなる促進、ひいてはシステム開発を抜本的に見直し、新たなアプリケーション開発のあり方を含むDXの実現を目指すとしている。
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