ジェーシービー(以下、JCB)、TIS、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、メインフレームの基幹系システムに含まれるデータをデータコアサービスへと連携する実証実験とデータコアサービス上でのローコード開発や開発自動化プロセスに関する実証実験を2023年12月末まで実施。この結果を踏まえ、2024年3月より本格展開に向けたシステム化要件定義に着手し、2024年度内の稼働を目指すと発表した。
同実証実験では、日本IBMの「デジタル・インテグレーション・ハブ」アーキテクチャを採用。IBM InfoSphere Data Replicationにより既存メインフレームの業務処理への影響を抑えながら、基幹系システムの元帳にあるデータをほぼリアルタイムで抽出するという。同時にデータコアサービス上に配置したApache Kafkaによるデータの連携・保存と、日本IBMの開発効率化アセットとの統合によるデータ加工のストリーミング処理、同アセットによる接続インターフェースのAPI化を実現するとしている。
このアーキテクチャにより、コマンドクエリ責務分離を図り、メインフレームの処理負荷低減と、基幹システムの開発と比較して20%~30%の開発生産性向上と周辺システムとの接続の簡易化が可能になったという。
3社は今後、基幹システムの機能と資源の最適配置によりビジネスアジリティの向上と効率化を進めつつ、データコアサービス実装に着手する。データコアサービスでは、Apache Kafkaイベント連携により、従来のバッチ型アーキテクチャの脱却を可能にするイベント駆動アーキテクチャを提供。API連携により周辺システムとの接続容易性を向上させ、コマンドクエリ責務分離により現在基幹システムにて実現しているデータ連携機能を周辺システム向けに提供することで、基幹システムの負荷低減を図るという。
JCBは、データコアサービスの実装による新規サービスの提供、ローコードツールやアセットの活用による開発生産性の向上、APIやKafkaを用いた基幹システムへの周辺システムの接続の簡易化を通じて、顧客への価値創出を目指すとしている。
TISは、引き続きメインベンダーとして、これまでの基幹システム開発実績を活かしデジタルコアサービス実装支援を行うことで、JCBの経営課題の解消に貢献するという。
日本IBMは、基幹システムのデータをデータコアサービスに連携するDIHアーキテクチャー案の策定やIBM InfoSphere® Data Replication、開発効率化アセットなどの要素技術に対する技術支援を行うとしている。
【関連記事】
・NICT、セキュリティ情報融合基盤「CURE」の新機能を開発 蓄積した観測・分析情報をセキュリティ向上へ活用可能に
・IBM、Salesforceとの戦略的パートナーシップを拡大 AIとデータのエコシステムを推進
・AIの過信に潜む大きな盲点:AIワークロードを完全に理解しているITリーダーは半数以下──HPE調査