アクセンチュアは米国時間2024年7月16日、レポート「Reinventing with a Digital Core(邦題:デジタルコアによる再創造の推進)」を発表した。
調査結果
企業全体の再創造を支えるテクノロジー能力の構築には、先進的なデジタルコアが重要な役割を果たすことが明らかになったという。デジタルコアには、俊敏性とイノベーションを生み出すクラウドを前提としたインフラストラクチャと、それに対応する業務を適切に組み合わせることが肝要だとしている。また、差別化を図るためのデータとAI、成長を加速させるアプリケーションとプラットフォーム、次世代エクスペリエンスと最適化されたオペレーション、そしてあらゆる領域における高いセキュリティが求められるとのことだ。
加えて、技術的負債が増加する要因のひとつはAIであることも明らかになった。技術的負債とは、ITシステムを最新の状態に保ちビジネスニーズに即応するために要するコストと労力のことであり、長期的なメンテナンス性よりも導入のスピードを優先したことで蓄積されてしまったもの。AIは技術的負債の管理・軽減や新しいシステム設計にも活用できる一方で、経営幹部の41%がアプリケーションやプラットフォームと並び、AIを技術的負債が増加させる要因として挙げている。従来、技術的負債は、主にレガシーコードや古いテクノロジー、文書化の不足から生じていたが、最近ではAIの急速な浸透により新たな技術的負債が増加しているという。
アクセンチュアの提唱
企業全体の再創造を支えるデジタルコアの実現に向けて、アクセンチュアでは以下3点を基本理念として提唱しているという。企業はこれらの基本理念を同時に推進することで、収益成長率を60%向上、利益を40%増加させることができるとしている。
- 業界ニーズに合致した先進的なデジタルコアの構築:同調査では、企業全体の再創造には、「業界トップレベル」のデジタルコアを具備する必要性が示された。また、ひとつの能力向上が他の能力向上につながることも明らかになった。このため、企業はまず自社のデジタルコアの現状を把握し、必要な領域に基づき「No Regret : 先手必勝で取り組む領域」を優先すべきだという
- AIオペレーションに向けたシステム再構築を含む、戦略的イノベーションへの投資強化: 企業はIT予算をシステム運用よりもイノベーション創出に振り分け、主要業績評価指標としてその増加割合を計測すべきだという。同社の調査では、企業全体の再創造に向けて少なくとも対前年比6%の増加が必要であることがわかった。最終的に企業は、ビジネスプロセスで定義されたワークフローに従ったオペレーションから脱却し、人間とAIの最適な協働環境を生み出すべきだという。これには、人間の意思決定とAIによる価値創造の両輪を支えるデジタルコアが必須であり、AIオペレーションに向けたシステムを再構築する必要があるとしている
- 計画的かつ自律的な手法により、技術的負債と将来への投資のバランスを確保:IT予算の約15%は技術的負債の解消に割り当て、安定したIT能力を維持すべきだということがわかった。これは、技術的負債の削減と将来的な投資をバランスよく両立するための配分だという。自動化されたバージョン管理システムを活用することで、コード変更にともなうインフラストラクチャのコンフィギュレーション設定の更新も可能とのことだ
調査方法
- 対象国:日本を含む世界10ヵ国
- 対象人物:19業界にわたるIT部門の経営幹部1,500人
- 分析方法:IT部門の経営幹部に対し、自社のテクノロジー資産の状況、ビジネス環境、財務および業務パフォーマンスについて質問し、定量的な結果と20件の詳細なインタビュー、26件のケーススタディの定性的な結果を分析
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