6月5日、アクセンチュアは宮城県とデジタル・データの活用推進に関する連携協定を締結し、宮城県知事 村井嘉浩氏とアクセンチュア 代表取締役社長 江川昌史氏が会見をおこなった。連携協定の目的は、県内におけるデジタル・データの活用を推進し、個性豊かな地域社会および県民サービスの向上を図ることだという。宮城県にはこの間、半導体企業の進出が盛んであることも背景にある。連携協定では、以下の5つの分野での連携を進めていく。
- 県内企業および県内進出企業のデジタル・データの活用支援
- デジタル人材の育成および児童・生徒のデジタル教育
- 県民のデジタル・データリテラシー向上
- 地域の魅力発信
- その他、地域社会の活性化および県民サービスの向上に資する活動
江川社長は、「宮城・仙台に進出する理由は、優秀な学生がいることと、中小企業が集積していることです」と述べる。今回の連携協定により、宮城県内の中堅・中小企業のデジタル化を支援していくという。
「製造業がどこかに進出する際、土地やインフラを確認した後、工場や倉庫を建てる。しかし、システムやデジタルへの対応は後手に回りがちだ。新たな拠点では、立地と同時にデジタル化を進められる体制を整えたい」と江川氏は説明する。
「製造業デジタルインフラ」の整備
さらに、企業間のサプライチェーンをつなぐ「製造業デジタルインフラ」の整備も進めていく考えだ。「企業間でやり取りされる納品データなどを連携できる基盤を提供していきたい」(江川氏)
一方、宮城県の村井知事は、「昨年、県内に新たな半導体製造工場の立地が決定し、関連企業のさらなる進出など、県内経済の活性化に向けて大いに期待している」と述べた。そのうえで、「地域経済の持続的な成長につなげていくには、産業全般でデジタル・データを活用し、生産性向上や競争力強化を図ることが求められる」と強調した。
さらに、村井知事は「今後具体化していくプロジェクトを推進するため、専任の職員を仙台のアクセンチュアのオフィスに配置したい」とも述べた。
「これまでアクセンチュアは大企業への支援が中心というイメージがあったが、宮城の中小企業をサポートしてくれることに対して心強く感じる」と村井知事は述べた。地方に根付くことから始まり、デジタル化を根付かせ、全国展開を目指すというアクセンチュアの大きな構想は、デジタル化を通じた地方創生のモデルケースとして注目を集めそうだ。