日立製作所(以下、日立)は、基幹システムのハイブリッドクラウド化を推進する企業に向け、Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)関連サービスを強化すると発表した。
具体的には、プラットフォーム製品の保守をワンストップで行う「日立サポート360」において、パブリッククラウド上のRHELを、従来の2年から最長6年まで同一バージョンで利用できる長期保守サービスを、10月1日より提供開始。これにより、金融・公共をはじめとした稼働期間の長い基幹システムのモダナイズにおいて、RHELバージョン更新時のテストや異なるバージョン管理にかかる工数を削減し、システム管理のコスト最適化を実現するとしている。
また、日立がオンプレミスで培った独自のLinux高信頼化技術を活用し、障害が発生した際に、プラットフォームエンジニアが原因の特定を支援するサービスも、新たにパブリッククラウド向けに提供するという。ハイブリッドクラウドにおけるRHELの障害対応が同水準となることで、復旧時間を短縮でき、基幹システムの安定稼働を支援するとのことだ。
Red Hat Enterprise Linux関連サービス強化の特徴
ハイブリッドクラウドで最長6年の長期保守を実現し、システム管理のコストを最適化
日立サポート360の「バージョン固定保守オプション」を拡張し、パブリッククラウド上のRHEL同一バージョンでの保守期間を、従来の2年から最長6年まで延長可能な長期保守サービスを提供。長期保守の期間においても、RHELのセキュリティパッチや不具合対策の改良版が利用可能だという。これにより、金融・公共など稼働期間の長い基幹システムのクラウドリフトといったモダナイズのプロジェクトにおいて、稼働期間途中でのバージョン更新が不要に。また、複数業務がハイブリッドクラウドで稼働するシステムであっても、長期間にわたりバージョンを統一できるとしている。バージョン更新時に必要なアプリケーションの改修・テストの工数や、異なるバージョンを管理する工数を削減できるため、システム管理のコスト最適化に寄与すると述べている。
日立独自のLinux高信頼化をパブリッククラウドにも適用し、ハイブリッドクラウドでの安定稼働を実現
日立サポート360の「Linux環境強化サポートオプション」において、日立独自のLinuxシステムを高信頼化する障害調査機能(障害の発生個所や影響範囲の特定支援)および、プラットフォームエンジニアによる問題解決支援を、新たにパブリッククラウド向けにも提供。パブリッククラウドでのRHELの障害対応や不具合対策がオンプレミスと同水準となることで、障害発生時の復旧時間を短縮し、ハイブリッドクラウドでの基幹システムの安定稼働を支援するという。
レガシー資産を継承しながらクラウドネイティブ技術の活用も可能
パブリッククラウド環境においても、10進数の会計処理などを含む基幹システムに多く残るCOBOLアプリケーションやShift_JIS文字コードといったレガシー資産を継承できるという。また、ビジネスアジリティの要求が強い分野向けにRed Hat OpenShift Container Platformのコンテナ環境で、JavaアプリケーションのスケールアウトやOSSを含めた障害トレースなどを実現する日立のミドルウェア製品やサービスを活用することで、クラウドネイティブ技術を取り入れ、信頼性とアジリティを両立できるとしている。
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