AIガバナンス協会は10月25日、これまで任意団体として活動していたAIガバナンス協会を一般社団法人化することを発表した。同日、設立記念シンポジウムを開催。
冒頭、東京海上ホールディングス 専務執行役員 グループCDOであり、AIガバナンス協会の代表理事を務める生田目雅史氏が登壇。生田目氏は、2023年10月の同協会設立発表以降、参加企業が参加するミートアップイベントの開催や、与党への政策提言パッケージの公表などの活動を進めてきたことを振り返った。加えて、AIセーフティ・インスティテュートやAI事業者ガイドラインなどの政策当局の取り組みにも民間団体として関与しているという。生田目氏は「任意団体として同協会が発足してから、約1年で70社近くの会員を抱える協会へと成長しました」と成果を示した。
一般社団法人への移行背景には、「AIガバナンスの自主的なスタンダード形成に対する期待の高まり」があるという。「民間団体としての役割を一段上に格上げすることで、より一層政策関係当局との連携を深め、活動を拡大していきたいと考えています」と今後の方針を説明。
今後は理事会・事務局の運営体制を強化し、他団体とのネットワークも拡大していくという。また、さらなる実践知の蓄積も行っていくとした。具体的には、AIガバナンス実装の進捗状況を自己診断できるツール「AIガバナンスナビ」を通じたスタンダードの形成や、政策や制度枠組みの積極的な提言などを挙げた。
最後に生田目氏は、「日本がもつ価値観におけるスピード感では、AIの開発スピードに追い付くことは難しい」と危機感を示したうえで、協会としてこのスピードをさらに速めていきたいと意欲を見せた。また、「AIの何がリスクで何がメリットか、我々はその明確な線引きをするまでにはまだ至っていないと考えています。これを実現するには我々自身の知見を集約し、そこから学び、それを概念化して読み取っていくことでのみ実現できます」と、活動に対する思いを語り、締めくくった。