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スペクティ「Spectee SCR」新機能発表 グローバルなサプライチェーンのリスク管理が可能に

 2024年11月14日、Spectee(スペクティ)は、サプライチェーンにかかわる調査結果について記者会見を開催。同社が提供する「Spectee Supply Chain Resilience(Spectee SCR)」の新機能も発表した。

 冒頭に登壇したのは、同社 取締役COO 海外事業責任者の根来諭氏。同社が2024年11月1日から11月5日にわたって実施した、「『サプライチェーン強靭化』に関する調査」について説明を行った。

(左から)株式会社Spectee 取締役COO 海外事業責任者 根来諭氏
同社 代表取締役CEO 村上建治郎氏

 まず根来氏は、近年のサプライチェーンに対する混乱・途絶の事例を紹介。2011年に起きた東日本大震災をはじめ、近年ではサイバー攻撃の増加にともない、“サプライチェーンが途絶”されるような事例が注目を集めているという。

近年のサプライチェーンに対する混乱・途絶の事例(クリックすると拡大します)

 根来氏は「特に、2011年に起きた東日本大震災は、サプライチェーンの問題意識を際立たせる出来事だった」と指摘。具体的な課題として、以下の3つを挙げた。

①サプライチェーンに影響があったことを確認するためにかかった日数

 経済産業省の『東日本大震災後の産業実態緊急調査』(2011年4月)では、加工業種においては、37%が1週間以内に影響確認を完了でき、4月地点では11%の企業が影響を確認できていないという実態が報告されている。また、製品の原材料、部品・部材の調達が困難であった理由としては、「調達先の企業が被災した」との理由が大半を占めたという。これに対して根来氏は、「自社の管理体制の問題ではなく、サプライヤーを起因とした調達障害が生じた」と説明した。

東日本大震災でわかったこと①(クリックすると拡大します)

②複雑に入り込んだサプライチェーンの実態

 東日本大震災において、特に影響を受けたサプライチェーンとして、自動車や液晶テレビ、産業機械が挙げられるという。下図を参照しながら、「1つの製品を世に出すためには、これだけ複雑な要素が絡み合っている」と説明。その構造が複雑であればあるほど、有事の際にどのようなアクションを取るべきかわからず、連携が取りづらくなってしまうと語った。

東日本大震災でわかったこと②(クリックすると拡大します)

③下請け構造の集約化による「ダイヤモンド構造」

 従来、サプライチェーンはピラミッド型で構成されており、各完成品メーカーにサプライヤーがぶら下がっているような構造だと想定されていた。この構造であれば、あるサプライヤーが被災した際にも影響を把握することは難しくないが、企業がコストダウンを目指していく中で、徐々に下請け構造がスリム化。サプライチェーンは「ダイヤモンド型」の構造に変化していたことが明らかになったという。根来氏は、「(ダイヤモンド型のサプライチェーン構造では)影響を測定することが難しくなり、復旧に大きな影響を与えるということが東日本大震災で露呈した」と説明した。

画像を説明するテキストなくても可
東日本大震災でわかったこと③(クリックすると拡大します)

 先述したような課題を受け、現在のサプライチェーンは「効率性」とともに「強靭性」が重視されていると根来氏。その状況下、サプライチェーンの途絶などが憂慮される、“危機の時代”に突入しているとし、「サプライチェーンの強靭化」を図る必要性を主張した。

 その実態を示すものとして、スペクティが実施した「『サプライチェーン強靭化』に関する調査」に言及。概要と結果について触れられた。

調査概要

  • 調査期間:2024年11月1日~11月5日
  • 調査方法:インターネット調査(調査会社:クロス・マーケティング)
  • 調査対象:従業員500人以上の製造業に勤める経営層50人、サプライチェーン業務に関与または興味のある社員450人

調査結果

 サプライヤー情報を管理するために利用しているツールについて、48.8%が「Excel、スプレッドシートなどの表計算ソフトを使用している」と回答。根来氏は「表計算ソフトの利点として、作業における柔軟性がある」と補足する。

約半数がサプライヤー情報の管理に「Excel」を利用と回答(クリックすると拡大します)

 その一方で、「非効率な手作業の多さ」(34.6%)、「データやプロセス全体の可視化の難しさ」(27.0%)、「情報の更新の難しさ」(26.8%)といった課題も明らかになったという。

サプライヤー管理の課題は「効率化」「可視化」「情報のこまめな更新」(クリックすると拡大します)

 また、サプライチェーンマネジメントの強化について尋ねたところ、経営者・役員クラスと現場層で回答に差異がみられたとする。前者は、重視すべき項目として「リスク管理」を最も多く挙げられているが、後者は「自動化を望んでいる」との声が最多となった。この結果を受けて根来氏は、両者の課題認識をすり合わせながら、サプライチェーンの強靭化を検討する必要性があると指摘する。

サプライチェーンを強化したい項目は経営層と現場社員で認識の違いが浮き彫りに(クリックすると拡大します)

 会見の最後には、スペクティでCEOを務める村上氏が登壇し、Spectee SCRに関する新機能について説明した。Spectee SCRは、サプライチェーンのリスク管理に特化したサービス。2023年の12月末にリリースし、継続的にアップデートを行っているという。

 今回のアップデートでは、グローバルでの対応が強化されたと村上氏。従来は、海外の事案を国単位でしか見られない状態だったが、今回のアップデートにより、世界で発生する事案をすべて緯度・経度単位でピンポイントに提示することが可能になった。また、事案が発生した場所から、特定のサプライヤーの場所が何m圏内にあるのか把握できるようになったという。この機能強化で、より顧客のニーズに沿ったサービス提供が可能になるとした。

 また、Specteeによる情報に基づき、アンケートを送信する機能を追加したという。具体的には、自然災害などの事案が発生した際、サプライヤーに対してアンケート通知が送信できるという機能だ。サプライヤーからアンケートに答えてもらうことで状況を把握でき、電話での状況確認といった手間が省けると同時に、被害状況を可視化できるとのことだ。

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この記事の著者

奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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