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NTTデータ、旭化成のグローバル基幹システムをSAP S/4HANAへ刷新、シンガポールで本格稼働

 NTTデータは、旭化成がグローバル展開する機能材料事業の基幹システムを「SAP S/4HANA」を中心としたシステム群へ刷新し、シンガポール拠点での本格稼働を開始した。

 NTTデータはグループ会社のクニエとともに、2021年から旭化成の機能材料事業におけるグローバルテンプレートの構築を行い、2024年10月に導入・ハイパーケアサポート期間を終え、2025年1月よりシンガポール拠点で本番稼働・保守運用を開始。2023年10月に実施したタイ拠点での稼働と合わせて、ASEAN地域における機能材料事業での全面稼働になるという。

 今回のグローバル基幹システムの刷新にあたっては、旭化成が立てた以下の3つの方針に従って構築をしているとのことだ。

①業務・レポーティング・コードの標準化

 各拠点で異なっていた、業務プロセスや経営判断の情報を統一するには、業務そのもの以外にも、業務の経過や結果を報告するレポーティング、加えて各国横串でのデータ分析に向けたコードの標準化が必要だという。次の2点を考慮して整備したグローバル基幹システムに対して、業務をシステムに合わせる「Fit to Standard」を基本方針として推進した結果、タイとシンガポールの両拠点における平均業務標準化率は約90%に達したとしている。また、Excelを中心としたマニュアル業務の多くを、SAP S/4HANA、「SAP BW/4HANA」を利用した業務へと切り替えているとのことだ。

  1. 拠点間での業務/レポーティングの標準化:SAP S/4HANAの主要モジュール(SD、MM、PP、FI、CO、QM)におけるNTTデータのSAPベストプラクティスを基に、旭化成独自のグローバル標準化要件・レポーティング要件を加え、SAP S/4HANA、SAP BW/4HANAテンプレートとして構築
  2. コードの標準化:NTTデータが導入済みの経営管理基盤で設計したグローバルコードを参考に、同プロジェクトにおけるコード標準化ポリシーを定め、展開を図る

②アドオン開発の削減

 現行の基幹システムは、導入後20年以上経過している拠点も存在するなど、多くのアドオンが残存し業務が複雑化・ブラックボックス化していたという。そのため、同プロジェクトにおいては、各国法要件・商習慣など業務上必要なもの以外は、極力テンプレートに合わせる前提でプロジェクトを進めることで、アドオンは従来の約半分に削減。アドオンの削減により保守性の向上やシステムバージョンアップが容易となるため、将来の維持費用も含めたコスト削減に寄与することが期待されるとしている。

③計画系業務プロセスとの融合

 同基盤においては、既に運用を開始していた経営管理基盤・サプライチェーン管理基盤(いずれもAnaplan)、顧客管理基盤(Salesforce)と、SAP S/4HANA、SAP BW/4HANAを連携することで、実行系と計画系業務プロセスを融合したシームレスな運用の実現を目指したという。

 具体的には、Anaplanで管理するセールスフォーキャストデータをSAP S/4HANAに取り込むことで、シームレスなMRPの実行を可能とし、製販一体となった生産計画の立案を実現。加えて、Salesforceで管理する顧客・用途別の契約情報をSAPに取り込むことで、価格マスタの更新の自動化と受注計上プロセスの効率化を可能に。また、在庫情報や販売実績情報などの実績系のデータはSAP S/4HANAからAnaplanへ連携するなど、計画系と実行系プロセスの融合を図り、同基盤を用いることで機能材料事業全体のデータドリブン経営の高度化に寄与しているとのことだ。

プロジェクトの全体像と同基盤の機能配置イメージ[画像クリックで拡大]

プロジェクトの全体像と同基盤の機能配置イメージ

[画像クリックで拡大]

サプライチェーン領域を中心とした業務拡張について

 現在、同プロジェクトと並行して進めているサプライチェーン改革プロジェクトでは、Anaplanを活用した需要の変動を捉えた迅速かつ精度の高い所要量計算と、生産業務へのシームレスなフィードバックを目指しているという。全拠点のPSI情報の連動・サプライチェーン全体の在庫の可視化と、理論安全在庫の適用による在庫最適化を進めており、既に一部の事業においてはPSI情報が一元的に可視化されているとのことだ。

 将来的には同テンプレートを拡張し、SAP S/4HANA、SAP BW/4HANAと連動させることで、サプライチェーン領域における業務高度化を実現していくとしている。

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