Dynatraceは3月26日、グローバル年次イベント「Perform 2025」において公開した新機能を日本に向けて発表した。同日に開催された説明会では、執行役員 ソリューション技術本部長 黒岩宣隆氏がアップデートの詳細を説明。

1, 予防的な運用を実現するAIOps機能を強化
同社のAIエンジンである「Davis AI」を大幅に拡張。これにより、企業はAI主導の自動化を通じて潜在的なインシデントを発生前に予測・防止できるようになると同時に、問題が発生した場合は迅速な調査を行うことで、自動修復の強化が可能になる。強化された機能の詳細は次のとおり。
- AIを活用した成果物の生成を可能にし、自動修復ワークフローを強化
- 自然言語による説明とコンテキストに基づく推奨によって、Davis AIの自動的な根本原因分析を強化。過去のインシデントの分析に基づいて、明確な問題の概要、具体的な修復手順、関連するベストプラクティスを提供する
- 上記2つの機能は、将来の動きを予測するDavis AIの予測AI機能と組み合わせることで、予防的な運用を可能にする
2, シフトレフトを促進する開発者向けオブザーバビリティを発表
また同社は、開発者にランタイムインサイトとトラブルシューティング機能を提供し、業界の「シフトレフト」を加速させる包括的なソリューションセット「Observability for Developers」を発表。機能の詳細は次のとおり。
- 容易なデータアクセスと調査:Davis AIによるダッシュボードと、ログ、メトリクス、トレース分析を活用することで、アプリケーションパフォーマンスの追跡と最適化、システム健全性のモニタリング、エンドユーザーの操作分析、履歴データの表示、予測の提供を一つのプラットフォーム上で行える
- 「Live Production Debugging」の導入:自動根本原因分析を含む、AIを活用したトラブルシューティングおよびデバッグ機能を拡張する新アプリケーション「Live Debugger」を導入。これにより、開発者は問題の再現や再デプロイを必要とせずに、ランタイム環境からリアルタイムのインサイトにアクセスできる。また開発者は、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えつつデバッグ情報を抽出し、コンテキストのインサイトを活用可能となる
- セルフサービスによる企業への導入:オブザーバビリティチームやプラットフォームエンジニアが開発者向けのセルフサービスモデルをシームレスに実装できるようにする。また、開発者ポータルや統合開発環境(IDE)との連携、カスタマイズ可能なエントリーポイントを提供することで、コンプライアンスに準拠したアプローチを維持しながら、開発者向けの生産性機能にアクセスできる
3, クラウドセキュリティポスチャ管理(CSPM)を含むセキュリティポートフォリオを拡大
さらに同社は、新たなCloud Security Posture Management(CSPM)ソリューション(Dynatrace CSPM)によるセキュリティポートフォリオの拡大を発表した。
Dynatrace CSPMは、既存のKubernetes Security Posture Management(KSPM)ソリューションを拡張したもの。セキュリティとオブザーバビリティに関する情報を集約し、コンテキスト化するという。また、既存のハイパースケーラー固有のソリューションとの統合や置き換えが可能で、アプリケーションとそれらが稼働するインフラストラクチャ両方のセキュリティ状況に関するインサイトを提供するとしている。Dynatrace CSPMによって、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境を管理する企業は、継続的なモニタリング、修復の自動化、可視性の一元化が可能になるとのことだ。
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