アルトマン氏とAMDリサ・スーCEOが対談! Instinct MI400シリーズの概要も明かされる
AMD「ADVANCING AI 2025」がサンノゼで開催、新製品・ロードマップを続々発表
AMDは米国カリフォルニア州サンノゼにて、現地時間6月12日に年次カンファレンス「Advancing AI 2025」を開催。基調講演にて、新たな製品やロードマップ、パートナーエコシステム拡大の進捗について複数の発表があった。
「AMD Instinct MI350」シリーズがいよいよ年内に出荷へ
AIおよびHPC向けのGPUアクセラレーターである「AMD Instinct MI350」が、2025年第3四半期より出荷開始されるという。ラインナップとして用意されているのは、「Instinct MI350X」と「Instinct MI355X」の2製品だ。

現行の「Instinct MI300X」と比較してみると、下図のようにAI時代の様々なワークロードにおいて3倍前後のパフォーマンスを実現するとのことだ。


また、競合として比較されるNVIDIAのGB200やB200に対しても優位性を確保しているという。

同シリーズはラックシステムとしても購入が可能で、Dell Technologiesやシスコ、HPEなどのパートナーを通じて提供される。こちらも同じく、2025年第3四半期より発売されるようだ。


Instinct MI400シリーズの概要が明かされる、新製品構想「Helios」とは?
AMDの会長 兼 CEOであるリサ・スー(Lisa Su)氏より、2026年に登場予定とされるInstinct MI400シリーズの概要が明かされた。加えて、「Helios」と称される同シリーズ搭載のAIラックソリューションも発表された。MI400シリーズに、現在開発中の次世代EPYC(Venice)と次世代Pensado(Vulcano)を組み合わせて提供するとのことだ。パフォーマンス面では、MI350シリーズに至るまでの進化スピードからさらに加速し、圧倒的な性能を実現する計画だという。




OpenAIのアルトマンCEOがゲスト登壇、さらなる技術協力に期待
オラクルやMeta、マイクロソフトにRed Hatなど、様々なパートナーがゲストとして基調講演に駆け付けた。その中でも特に注目を浴びたのが、OpenAIのサム・アルトマンCEOだ。「AMDが実現を目指す次世代の推論やトレーニングについて、OpenAIから重要なフィードバックを受けた」とリサ・スー氏は紹介した。
アルトマン氏はこれまでのAIの進化を振り返ったあと、現在のAIが抱える課題の一つに言及した。それは、AIの進化やデータ量の増大にともない、求められる計算リソースやメモリ、GPUもエスカレートしてきている点だ。
「過去1年間だけを見ても、AIのためのインフラが驚くべきスピードと規模感で拡大していきました。ここからまた1年経つとどうなるか。理論的には、ある時点で地球上の電力のほとんどがAIの計算に費やされることになります」(アルトマン氏)
続いてアルトマン氏は、AMDが今年から発売するMI350シリーズについて、「メモリアーキテクチャは推論に最適化されており、トレーニングにおいても驚くほど多様なオプションを提供できる」と評価。そして2026年に目指すMI400シリーズについては、最初にスー氏からこの構想を聞かされた時には「絶対に無理だ」と思ったそうだが、研究開発やプロジェクトの過程を見るうちに「きっと素晴らしいものになるだろう」と期待を寄せるようになったという。
スー氏は、OpenAIと交流・協力を続けるうちに、同社のエンジニアからAMDに柔軟性がもたらされたと話し、さらなる協業による組織としての進化や視野の拡大にも期待を寄せた。アルトマン氏は、「たとえばAGI(汎用型AI)のような技術は、2020年の初めには『実現不可能だ』と思われていた。しかし今では、人々は『あの時は不可能に思えた』と振り返るだろう」と、これまでのAIの進化は不可能を可能にすることの連続だったことを振り返った。
「今から2020年に戻って、『10年間で新たなシステムが構築され、そのシステムと会話できるようになり、非常に賢く、あなたのために働いてくれるようになる』と言われたら、皆さんは信じられるでしょうか。当時の私は、この10年間の進化が、前半と後半で果たして同じペースを維持できるのか確信が持てませんでした。しかし、今では実現できると信じています」(アルトマン氏)
最後には、誰も想像できないようなことを実現するためには、非常に複雑なプロジェクトや研究が必要で、その研究を絶えず続けるためにはエコシステム全体で協力することが重要だとメッセージを送った。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
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