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New Relic「真のFinOps」実現に向け新機能2つ発表、AI insideが取り組み事例語る

 2025年6月18日、New Relicは、オブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」の新機能追加に関する記者会見を開催した。

(左から)New Relic株式会社 執行役員 技術統括 兼 CTO 松本大樹氏、同社 上席エヴァンジェリスト 清水毅氏

 会見冒頭、New Relic 執行役員 技術統括 兼 CTOの松本大樹氏はオブザーバビリティにおける世界のトレンドを紹介。「日本では、オブザーバビリティの考え方が世界と比較してもより早く浸透している」としながら、現在以下3つのトレンドがあると説明した。

  • 成長過程のマーケット:まだ世界でオブザーバビリティの考え方が浸透しきっているわけではないが、今後は世界全体の関心も増加する見込み
  • エンジニア以外も使えるツール:オブザーバビリティを備えたツールについて、経営層や事業責任者、セキュリティ担当者など非エンジニアの人も活用できるものだと認識され始めている
  • AIシステムの管理とAIの活用の両輪:社内におけるAIの運用と同時に、オブザーバビリティのツールにAIを組みこむといった動きが生じている

 これらのトレンドに乗じて、同社のプラットフォームの利用量も大幅に増大しているという。現在、同社では各デジタル関連のツールサーバーやストレージなどのシステムからデータを取得する際にAIエージェントを活用しているが、その数はおよそ500万に及ぶ。容量としては3.3Exabytes、1日あたり4億クエリものリクエストが顧客から届いているとのことだ。

 「利用量増大の背景の一つに、クラウド利用の増加があげられる」と松本氏。世界のクラウド利用におけるトレンドを見ると、2020年から2024年のパブッククラウドの市場は約2倍成長しており、2024年から2028年の年間支出予測も倍増しているという。日本に目を向けると、国内市場は4.1兆円にのぼり、2029年までにはその規模も2.1倍増大する見込みだ。

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 しかし、クラウドを活用する企業は「クラウドコストの増大」「ツールコストの増大」「ROIの定量化の難しさ」といった課題に直面していると同氏は語る。これらの課題を解決すべく、今回New Relicへ新たに新機能「Cloud Cost Intelligence」「Pipeline Control」を追加した。

 これら2つの機能について、同社 上席エヴァンジェリストの清水毅氏はFinOpsのアプローチにおける視点から解説した。通常、FinOpsというと「インフラやクラウドの費用が高騰したため費用を抑える」といった形で、技術チームと財務チームが協働しリソースを最適化する取り組みをイメージするだろう。

 今回の会見でNew Relicは、費用を管理する対象をクラウド上に構築されているアプリケーションにまで広げ、コスト最適化を図りながらビジネスの伸長を目指すアプローチを紹介。これが“真のFinOps”だとし、このアプローチを実現させるために新機能2つが活かされると説明した。

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 新機能の特徴は以下のとおり。

Cloud Cost Intelligence(6月16日よりLimited Preview)

 クラウドコストをリアルタイムに分析し、コスト最適化の判断を迅速化させる。既にAWSとKubernetesに対応しており、AWS CUR(Cost Usage Report)とNRDB(New Relicデータベース)のリソース使用状況からリアルタイムコストを予測するという。ビジネスニーズに合わせたデータの可視化、最適化、予測が可能となっていることに加え、技術チームと財務チームが同じ情報を見ながら意思決定を行えるとのことだ。

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Pipeline Control(6月16日より一般提供開始)

 テレメトリーデータを柔軟に処理し、データの価値を最大化させる。具体的には、テレメトリーデータをパイプライン処理することで、柔軟にフィルタリング・変換・加工が可能となる。そのほか、データのカスタマイズ性を向上し、データ利用の価値を最大化させるとともにデータコストの最適化を両立させるとのことだ。なお、パイプライン処理はNew Relic側だけでなく送信元のサーバー・クラウドでも可能だとしている。

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 会見後半では、AI insideで行われたFinOpsの事例も紹介された。同社は、2つの新機能は使用していないものの、New Relicを基盤としながら“真のFinOps”アプローチをとってコスト最適化・ビジネス伸長を実現させたという。同社では以前より、共通データの不在により顧客体験の向上と運用コスト削減といった観点で課題をもっていた。

 これらの課題解決に向け、同社では以下のようなサイクルでアプローチを実施。2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)における年間のAWSクラウドリソースの効率化を前年度から48%向上させながら、APMによるボトルネック解析によって、アプリケーションの主要機能の処理時間は従来比で2倍以上短縮させたという。

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 なお、会見の最後にはNew RelicとAWS Marketplaceとの提携も発表された。これにより、日本円でNew Relicを購入できるようになるとのことだ。

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

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