F5は、アイルランドのダブリンを主要拠点とし、大企業向けAIセキュリティの技術を有するCalypsoAI(カリプソAI)を買収する意向を発表した。
CalypsoAIは、生成AIやエージェント型AIを導入している企業向けに、脅威に対するリアルタイムの防御、レッドチーミング、データセキュリティを提供するプラットフォームを展開しているプロバイダーだという。これらの機能が、F5 Application Delivery and Security Platform(ADSP)に統合され、AI推論(インファレンス)の保護に対して包括的なソリューションを構築するとのことだ。
アプリケーション、エージェント、API、モデル、データストアにまたがるAIスタックは、従来型の運用管理では高度化した新たな脅威に対応しきれず、シャドーAIが拡大しているという。そんな中で、法規制による圧力も高まりつつある。セキュリティ部門は、AIがデータ、ユーザー、脅威とどのように相互作用すべきかガードレールを必要としていると同時に、専用に設計され、特定モデルに依存することなく、インフラ全体で集中的に可視化を実現するアプローチが必要だとしている。
F5は、CalypsoAIのAIセキュリティ機能により、こうしたニーズに対応することを目指しているとのこと。モデルやクラウドの種類を問わず、能動的かつ継続的なAI保護を提供する以下の機能を含むと述べている。
- 敵対的脅威への対策(Adversarial threat protection):プロンプト・インジェクションやジェイルブレイク攻撃(jailbreak attacks)といった、AIに関わる新たな脅威に対し、リアルタイムな脅威マネジメントによる防御を提供。毎月10,000件以上の新規攻撃プロンプトに対する積極的なレッドチームテストを実施し、リスクスコアを生成
- データセキュリティ:ガードレールが、ランタイム(実行時)における機密データの漏えいやポリシー違反を検知・防止し、モデル横断的なAIインタラクションを監査
- 統合可視化とガバナンス:集中型監視、ポリシー制御、監査ログにより、SaaS、オンプレミス、ハイブリッド環境全体で「EU 一般データ保護規則(GDPR)/EU AI規則」の要件対応を容易に実現
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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