Broadcomと日本電気(NEC)は2025年10月29日、VMware Cloud Foundation(VCF)を活用したモダンプライベートクラウドの導入推進に向けた戦略的パートナーシップ強化を発表した。発表は「VMware Explore on Tour in Tokyo」の会期中に行われ、両社は20年以上にわたる協業関係をさらに深化させ、日本市場におけるプライベートクラウドの普及とモダナイゼーションの加速を目指す。
プレス・アナリスト説明会には、NEC 執行役でデジタルプラットフォームサービスビジネスユニット長の木村哲彦氏、Broadcomの日本法人であるヴイエムウェア カントリーマネージャーの山内光氏らが登壇。プライベートクラウドの重要性と両社の取り組みについて説明を行った。
NECは、同社のDXブランド「BluStellar」の中核として、VCFベースのプライベートクラウド基盤を発表した。同社は「クライアントゼロ」戦略の一環として、VCFを自社の情報システムに先行導入済みである。「クライアントゼロ」とは、最新技術をNEC自身がまず先行して実践することで機能や利点を深く理解し、効果的な実装と効率的な運用の方法を検証し、顧客企業への価値提案を行うものだとする。
木村氏は「NEC自体がクライアントゼロという位置付けで、すでにVCFを導入して基幹系のシステムに導入している」と述べ、実際の運用やシステム構築のノウハウ、マネージドサービス、技術者の育成などをBroadcomやDellの協力を得ながら進めてきたことを明らかにした。
NECは2019年からDXに取り組んでおり、基幹系システムをはじめとする様々なシステムを刷新してきた。特にデータドリブン経営の実現に向けて、サイロ型組織におけるデータ活用とデータ連携に注力。木村氏は「各企業で持っている共通課題に、われわれの実績が適用できる」と語り、自社での実践経験を顧客支援に活かす方針を示した。
NECは2025年10月から、VCFをベースとした新サービス「NEC Private Cloud Infrastructure powered by VMware」のマネージドサービス提供を開始する。このサービスは、「BluStellar」のVCF活用ソリューションで、プライベートクラウド環境の構築に必要なVCFのリソースを月額料金で柔軟に提供する。
木村氏は顧客メリットとして「安全性、コスト、運用。この3つが掛け合わさっている」と説明。VCFの「モダンクラウド」の特長をNEC独自のマネージドサービス、構築ノウハウ、データ基盤の考え方、セキュリティ製品・サービスと組み合わせて提供することで、セキュリティの担保、コストの最適化、運用性の向上という3つの価値を統合的に提供できる点を強調した。
主なターゲット業種として、モダナイゼーションの取り組みで先行する金融機関を筆頭に、コンビニエンスストア、流通、製造といった民需の顧客を挙げた。また、官公庁向けにはガバメントクラウドへの移行を支援するブループリントシナリオも用意している。
ヴイエムウェアの山内氏は、VCFが「モダンプライベートクラウドを実現する統合型クラウドプラットフォームであり、パブリッククラウドの柔軟性・俊敏性と、プライベートクラウドのセキュリティ・パフォーマンス・低い総所有コスト(TCO)を両立する」と説明。現在、Fortune 500企業の上位10社のうち9社がVCFを採用していると語り、国内でも導入が進んでいることを強調した。
さらに、Broadcom VMware CloudFoundation部門の幹部は、VCFの重要なイノベーション領域として、開発者のスピードに対応するKubernetesベースのインフラ、安全なプライベート環境でのAI運用を可能にするPrivate AI as a Service、そして継続的なコンプライアンスとランサムウェア対策を強化するサイバーレジリエンスの3点を示した。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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