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EnterpriseZineニュース

AI時代に耐えられない現存のITインフラ環境、限界に達する運用キャパシティ……Ciscoが出した答え

 2026年7月8日、Cisco(シスコ)の米国本社より2人の幹部が来日し、ラスベガスにて5月31日~6月4日の期間に開催された「Cisco Live! 2026」での発表内容と、同社が描くポートフォリオ戦略を日本市場向けに報告した。

 まずは、かつて日本法人で社長を務めたこともあるデイヴ・ウェスト氏より、Ciscoの事業戦略や市場で狙うポジショニングについて説明があった。同社は、これまでの「ネットワーク領域のベンダー」という立ち位置から、「ハードウェアからネットワーク、データ、アプリ、ワークプレイス、人に至るまでのすべてをつなぎ、すべてを保護する」という立ち位置へのシフトを掲げている。

デイヴ・ウェスト(Dave West)氏[Cisco Systems シニアバイスプレジデント グローバル スペシャリスト]

デイヴ・ウェスト(Dave West)氏

[Cisco Systems シニアバイスプレジデント グローバル スペシャリスト]

 筆者はCisco Live! 2026に現地参加してきたが、そこではAIエージェント時代の進展を見据え、フルスタック・インフラを見直さなければならないという課題感が繰り返し訴えられていた。将来、企業の中で数千、数万というAIエージェントがノンストップで毎日稼働しつづけるようになった時、ほとんどの現存ネットワークはこのトラフィック量に耐えられない。つまり、AIエージェントはあっても、それを十分に動かせないということだ。

【参考】現地レポート記事

 また、AIエージェント(デジタルワーカー)と人(ヒューマンワーカー)、さらには将来普及が見込まれるフィジカルAIなど(ロボティクスワーカー)が一緒に同じ組織で肩を並べて働くことになった時、その環境を前提としたセキュリティやガバナンスも必要となる。既に、AIを悪用した大規模・高速なサイバー攻撃や、それに対抗するためのエージェント型セキュリティ製品が出てきていることは皆さんもご存じだろう。

 ここでCiscoの製品ポートフォリオが活きてくる。ハードウェアからネットワーク、セキュリティに至るまでのすべてを製品として手掛けるからこそ、「組織のフルスタック・インフラを端から端まで構築できる」というのが、同社のポートフォリオ戦略における自信の裏付けとなっている。

Cisco Live! 2026(US開催)の会場で至る所ところに掲げられていたフレーズ“The critical infrastructure for AI era(意訳:CiscoこそがAI時代の重要インフラストラクチャである)”。まさに同社の思想や戦略を表している
Cisco Live! 2026(US開催)の会場で至る所ところに掲げられていたフレーズ“The critical infrastructure for the AI era(意訳:CiscoこそがAI時代の重要インフラストラクチャである)”。まさに同社の思想や戦略を表現している

 ただし、見るべき製品や領域が広範に及ぶとなると、今度は運用の課題が出てくる。データセンターから社員一人ひとりのエンドポイントデバイスまで、縦横無尽に駆け回るAIエージェントをどう統制・保護すればよいのか。また、何か異常が起こった際、その原因がどこにあるのかを、果たして瞬時に特定できるのか……。シンプルかつ可視性の担保された運用環境でなければ、そもそも何に対処すればよいのかも分からない。ウェスト氏は、優れたユーザー体験を阻む3つの課題として、①複雑性②コントロールの欠如③可視性の不足を挙げた。

 そこで同社は、“One Cisco”のアプローチの下でネットワーク、セキュリティ、オブザーバビリティ、コラボレーションにわたる製品ポートフォリオの力を結集したサービスの提供を掲げている。今年のCisco Live!では、それを体現する一つの到達点が新製品として示された。それが「Cisco Cloud Control」だ。

 既にEnterpriseZineでは取り上げたこともあるCisco Cloud Controlだが、これはCiscoが提供するすべての製品を単一コンソールで一元管理できるというプラットフォームだ。たとえば、グローバルで事業を展開する大企業ならば、国内外に散在するハードウェア、ネットワーク、セキュリティ、オブザーバビリティ(Splunk)を一つの画面上で運用し、一貫したポリシーを環境全体に適用できる。

 これにより、運用における複雑性、コントロールの欠如、可視性の不足を打破できるというのが同社の答えだ。加えて、プラットフォーム全体にわたりCiscoが独自に開発したエージェント型AIが稼働することで、導入時点からネイティブなAIOpsを組織に実装し、「マシンスピード」かつ「マシンスケール」の運用が可能となっている。プラットフォーム内のセキュリティ製品がIT環境のどこかに異常を検知した際、その出所と正体を瞬時に同じ画面上で特定し、エージェントの力によって瞬時に修正対応できるようなイメージだ。

 同プラットフォームは、サードパーティ製品にも対応している。また、「たとえ一元管理が可能でも、Cisco製品を個別に何十種類も導入するのは膨大な費用と時間がかかるのでは」という顧客の声に応えるべく、事前にプラットフォーム内で複数の製品・機能を統合した状態で提供するなど、モダナイズにともなうコストの削減を支援するメニューも用意されている。

 同社でネットワーク領域のセールスを統括するブリンク・サンダース氏によれば、ネットワークのトラフィックは今後3年間で約3倍に増加するとされている。また、既知の脆弱性発見からエクスプロイト(攻撃コード)を作成するまでの時間は、これまでは約2年半を要するケースもあったが、今ではAIの力により約8時間まで短縮されている。さらに、その潮流を後押しするかのように、MythosのようなフロンティアAIモデルが出現した。

ブリンク・サンダース(Brink Sanders)氏[Cisco Systems シニアバイスプレジデント グローバル ネットワーキング セールス]

ブリンク・サンダース(Brink Sanders)氏

[Cisco Systems シニアバイスプレジデント グローバル ネットワーキング セールス]

 こうした背景を踏まえ、企業はネットワークを中心としたインフラのモダナイズを真剣に検討しなければならないとサンダース氏は改めて強調した。そしてCiscoも、単一コンソールによる運用の変革だけでなく、ネットワーク、セキュリティ、ハードウェアなど個々の分野においても、「ポストMythos時代」にも通用する新たな製品を開発・提供して対応していると述べた。

Cisco Live! 2026(US開催)における個別の発表内容
Cisco Live! 2026(US開催)における個別の発表内容

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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