マカフィーは4月26日、サイバー防衛に関する世界各国の識者の意識調査をまとめた世界初の「サイバー防衛報告書」を発表した。
本報告書は、本年1月、マカフィーとベルギーのシンクタンクSDA(Security & Defence Agenda)が共同で、日本を含む27か国の政策立案者や政府、企業、学会におけるサイバーセキュリティの専門家約80人をインタビューし、また35か国の世界的なリーダー250人の匿名調査を行ったもの。
サイバー防衛の取り組みの現状とサイバー攻撃の阻止能力を、Robert Lentz元米国防次官補代理(サイバー情報保障担当)のモデルを採用し、攻撃からの耐性を5段階で評価している。日本の評価は3.5であった。
サイバー防衛戦略の最も重要な課題として以下の10項目があげられている。
1.攻撃態勢の確立
2.国の攻撃能力の評価
3.統合が進むグローバルシステムの保護
4.SCADAシステムの保護対策
5.セキュリティとプライバシー
6.ネットの中立性
7.国際的なルールの確立
8.より強固なサイバーアーキテクチャの構築
9.最も脆弱な国々への対処
10.インターネットサプライチェーンの保護
本報告書のなかで、日本におけるサイバーセキュリティ対策について、奈良先端科学技術大学院大学教授で、元内閣官房情報セキュリティ対策推進室情報セキュリティ補佐官の山口英氏は「現在は自然災害対策に多くの資金が必要とされている。防衛予算は削減され、サイバーセキュリティも防衛力強化の5か年計画でも最優先事項から外れている」と述べている。
また、法的には自衛隊以外の情報システムの保護は自衛隊の任務ではないことを示し、「世論の喚起は、サイバーセキュリティ政策を後押しするまでには至っていない。国民はサイバー犯罪取り締まりと警察庁の捜査能力の強化に期待している。防衛省のサイバー防衛計画に対する関心は低い」と山口氏は指摘し、警鐘を鳴らしている。