IIJ GIO CHINAサービスは、仮想化サーバータイプと専有サーバータイプを選択できるクラウドサービスで、2012年9月30日から試験サービスを提供しており、本日より正式にサービスを開始した。
仮想化サーバータイプは、CPU性能・メモリ容量・ディスク容量・OSを選択可能で、月額350元から利用できる。サービス設備は、上海のデータセンター内に設置されており、中国語・日本語・英語の3ヶ国語でサポート。ユーザーは自社で機器を用意する必要がなく、容易かつ迅速に中国国内のサーバー環境を利用することが可能となるという。
本サービスのインターネット基盤は、中国2大通信事業者であるチャイナテレコムとチャイナユニコムに接続し、遅延の少ない通信環境を提供する。
これまで両社をまたぐ通信は、遅延や切断が発生する、通称「通信の南北問題」が多くあった。そこで、同サービスでは、チャイナテレコムとチャイナユニコム双方のIPアドレスを持たせた公開サーバーを用意し、クライアントに応じて通信遅延が小さいIPアドレスで自動的に通信する独自の仕掛けを用意。IIJ側でより速い接続を自動選択して提供する。本接続方式で実装したクラウドサービスは世界で初めてとなるという。
今回、中国でクラウドサービスを提供する理由について、IIJ 国際事業推進室 シニアマネージャーの小川晋平氏は、「IIJは、国や地域に関わらず国際事業展開を積極的に行なっているが、日系企業を中心とするIIJ GIOのユーザーから中国におけるクラウドサービス提供を渇望された。日本のクラウドサービスを中国から利用すると多くの遅延やゆらぎが発生し、非常に不安定な状態。中国国内から日本のクラウドサービスを利用するのは現実的ではない」と述べ、中国から日本のクラウドサービスへのアクセス問題を紹介した。
IIJは日本国内で、2009年からクラウドサービス「IIJ GIOサービス」を展開しており、800社を超える法人に採用。中国市場においても強いクラウド需要が見込まれるため、2012年3月からサービスの開発を進めてきたという。
「元々、日系企業や欧米の企業をターゲットに本サービスを考えていたが、よいサービスを提供すれば中国企業にもご利用いただける感触をもっている。中国人スタッフを中心に地場に根ざすサービスを育てていき、状況に応じて、上海のみならず北京近郊、香港近郊にも展開していきたい」(同、小川氏)。
IIJでは今後、国内で培ってきたクラウドサービスの運用ノウハウを活用し、日本市場と同品質のクラウドサービスを中国国内で積極的に展開していく予定だ。