IT専門調査会社のIDC Japanは10日、国内ITサービス市場におけるベンダー競合分析結果を発表した。
各ベンダーの規模が拡大
同調査によれば、国内の各ITサービスベンダーの規模が拡大していることが分かった。2008年3月期にIDC推定のITサービス売上高が1,000億円を超えるベンダーは、前年同期と比較して2社増加して14社となり、うち12社が売上を成長させている。
日本ユニシスとCTCが買収、合併により大きく事業規模を拡大したほか、金融業を中心とする大型の構築案件が好調だったベンダーが好業績となっている。
景気の不透明感への対応が進む
国内の景気先行き不透明感の強まりに対応した事業基盤の強化の流れが見られる。富士通、NEC、IBM、日立、NTTデータの上位5社は、サービスの標準化や工業化によるITサービス事業の収益性改善や、コンサルティング事業の強化による収益源の開拓を進めている。
一方、6位以下の各社は大型案件の受注や、ワンストップのサービス提供を目指して、買収、合併を通した体制構築を進める。また、プライムベンダーとしての大型案件獲得を目指し、大規模プロジェクトのコントロール能力や業種・業務視点などの強化を図る傾向があるとしている。
市場の変化への対応力が重要
2008年3月期の国内ITサービス市場は金融業によるシステム構築投資がベンダーの業績を牽引したが、銀行の合併に伴うシステム統合案件が一巡したことや、サブプライムローンによる収益悪化の影響もあり、今後の投資成長率は鈍化する見通しだ。
また、国内ITサービス投資環境やユーザー企業のニーズは変化の激しいものとなっている上、活発な買収、合併、コンサルティング強化の施策などによって、ベンダー間の競合状況も大きく変化していく。
同社のITサービス担当マーケットアナリストの武井 晶子氏は、「変化する市場環境に対応するためには、標準化されたサービスや、様々なリソースを柔軟に組み合わせて提供することが重要である。市場ニーズに迅速に対応できる体制を整えたベンダーがビジネスの拡大を実現することができる」と述べている。
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・IDC Japan