このシステムでは、オンプレミスとAWSのメリットを組み合わせたハイブリッド環境を実装して、低コストで柔軟性、拡張性のある、利便性の高い環境を短期間に実現したという。
ラサ商事はこれまで、BC/DR(事業継続/災害復旧)対策として、夜間にバックアップデータを外部記憶装置に保管するとともに、遠隔地のサーバーへ転送していた。
しかし、記憶装置の老朽や枯渇による装置のリプレースに加え、廃棄や装置故障のような障害時の対応など、保管管理による運用コストがかかることや、システム復旧に時間を要することが課題となっていた。そこで、BC/DR対策を強化し、災害への早期対処を目的に、DRサイトを導入することにした。
日立ソリューションズは、オンプレミス環境にクラウドストレージと接続するAWS Storage Gatewayサービスを適用した非同期データ転送基盤を導入して、当時のバックアップ運用と同等の環境を実現した。
また、基幹システムの災害対策として、オンプレミス環境が被災した際の事業継続を実現するために、クラウド内の仮想サーバー Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)上にDRサイトを構築した。
AWS Storage Gatewayサービスを適用したことで、クラウド内ストレージAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)上のバックアップとの差分だけのデータ転送を可能とし、転送データ量が少なくなることで、専用回線を必要としないインターネット回線を介したバックアップデータの別地保管を実現した。
さらに、Amazon EC2への基幹システムDRサイトの構築では、オンプレミス環境で稼働している、AWS上の適用範囲を越えた古いバージョンのソフトウェアを、VM Import/Export機能を利用することでAWS上へ移行することができた。
ラサ商事は、新しい環境によって、バックアップデータを保管する記憶装置の維持管理が不要になり、バックアップ運用作業が軽減するなど、BC/DR対策の運用コストと作業負荷の軽減を実現したという。
今回のAWS上のDRサイトの導入は、オンプレミス環境への導入と比べて、約40%のITインフラ基盤への投資費用を抑えられると試算されるという。 また、ラサ商事では、AWSの仕組みやメリットを活かし、今後の加速するビジネス変化に対応する企業ITインフラ基盤を自由に選択できることになった。
さらに、災害時でも、DRサイトにアクセスして業務を継続することで、災害の影響が取引先、関連グループ会社まで及ぶことを最小限にし、企業の社会的責任を果たすことができるようになったという。