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ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2015年」を発表

 ガートナーのハイプ・サイクルは、2,000を超えるテクノロジを112の分野にグループ化し、市場のハイプ(市場での経験や実証基盤のない過度な宣伝)、成熟度、ビジネス・メリット、今後の方向性に関する分析情報を、企業の戦略/プランニング担当者に提供するもの。

 1995年以来、ガートナーは新しいテクノロジおよび革新的テクノロジに伴う大きな期待、幻滅、最終的な安定という共通のパターンを明示する手段として、ハイプ・サイクルを活用している。

 2007年より発表している「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル」は、ユーザー企業のCIO、IT部門のリーダー、テクノロジ・ベンダーのマーケティング、製品開発、戦略企画担当者に向けて、先進テクノロジのポートフォリオを策定する際に考慮すべきトレンドを業種横断的な視点で示したもの。

図1:日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル・2015年(出典:ガートナー)  

 ガートナージャパンのリサーチ部門バイス プレジデント、堀内秀明氏は次のように述べている。

 「Nexus of Forcesの構成要素である、モバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーションに注目してみると、モバイル(モバイル・コンピューティング)、クラウド(クラウド・コンピューティング)、インフォメーション(代表としてビッグ・データ)は、すべて幻滅期に位置していまる。また、ソーシャル・メディアについては、2014年時点で生産性の安定期に達しているものの、企業における利用に関する項目は、幻滅期に位置するものが複数見られます(エンタプライズ・ソーシャル・ソフトウェア、ソーシャル・アナリティクス)」

 「日本では、モバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーションのビジネス活用がこれから重要になるという理解が広がったものの、成功事例以上に、取り組みにおける困難さや想像との違いに直面することが多くなってきているため、多くのキーワードが『過度な期待』のピーク期を越え、幻滅期に達したと評価しています」

 「しかし、自社システムの構築・更改に関する計画を策定する中で、採用するテクノロジやプラクティスを決定していく上では、ハイプにとらわれない視点に立ち、導入する(あるいは導入しない)ことによって自社が受ける影響(ビジネス・チャンスやリスク)の大きさという観点からも評価する必要があります」

 「このような観点から、モバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーションを見ると、モバイル・コンピューティング、クラウド・コンピューティングには引き続き『革新的』なビジネス貢献が期待でき、今後2~5年で成熟すると考えられます。また、ビッグ・データについても『革新的』なビジネス貢献が期待でき、5~10年で成熟するものと評価しています」

 「したがって、モバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーションをそれぞれ個別に、あるいはこれらのいくつかを組み合わせてビジネスに生かすという考え方自体は衰えず、5年後には多くの企業が、何らかの形でこうしたテクノロジの恩恵を受けるようになっているものと考えられます」

 さらに、堀内氏は次のように続けている。

 「今回のハイプ・サイクルでは、Nexus of Forcesに注目しましたが、企業はNexus of Forcesのみを意識していればよいというわけではありません。例えば、日本ではビジネスのグローバル化が長らく重要視されていますが、本ハイプ・サイクルを見ると、ERP実装(グローバル・ロールアウト)が生産性の安定期に非常に近い位置にあることが分かります」

 「企業のビジネスを下支えする基幹システムのグローバル展開は、徐々に当たり前のものになりつつあると言ってもよいかもしれません。一方、デジタル化やデジタル・ビジネスがにわかに注目されるようになりましたが、前述のとおり、Nexus of Forcesの構成要素が幻滅期にある中で、それらを組み合わせて新たなビジネス・モデルを生み出すということは、容易ではありません」

 「ベンダーからもさまざまな支援サービス(デジタル・ビジネス・コンサルティング・サービス、オフショア・デジタル・イノベーション)が登場しつつありますが、ハイプ・サイクル上では黎明期に位置付けられています。今後、ビジネスの拡大にITが貢献していく上では、基幹システムのグローバル展開のような成熟しつつある分野と、デジタル・ビジネスのような未成熟な分野を同時に検討し、自社における最適なバランスを見いだしていくことが、CIOを筆頭としたITリーダーに強く求められるものと考えます」

 なお、10月28日から30日まで東京・台場で開催する「Gartner Symposium/ITxpo 2015」では、前述の堀内氏をはじめ、ガートナーの世界的なトップ・アナリスト陣、日本市場を熟知した日本のアナリスト陣が、デジタル・ビジネスとデジタル・テクノロジについて、さらにIT全般に関する従来の観点も含めて、幅広い提言を行う。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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