2014年のI/O intensiveストレージは前年比58.1%増の137億8,000万円
IDCでは、エンタープライズストレージシステムをPerformance optimized(FC、SASのインターフェースを持ち、回転数が1万回転以上のHDDを搭載したシステム)、Capacity optimized(SATA、SASのインターフェースを持ち、回転数が7,200回転以下のHDDを搭載したシステム)、I/O intensive(フラッシュなどのソリッドステートストレージを搭載し、主に高速なリード/ライトが必要とされる用途で利用されるシステム)の3つのメディアタイプに分類し市場実績の調査と予測を行っている。
発表によると、フラッシュ技術を利用したI/O intensiveストレージの2014年の売上額は137億8,000万円(前年比58.1%増)、2015年は196億3,600万円(同42.5%増)が見込まれる。また、I/O intensiveストレージの2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は27.1%で、2019年には457億4,500万円に達すると予測している。
2014年から2015年にかけては、国内エンタープライズストレージシステム市場においてフラッシュ技術を利用したI/O intensiveストレージの普及が本格化している。
高いI/O性能と低レイテンシーを特徴とするフラッシュストレージの普及が本格化したのは、データベースやデータウエアハウス/ビジネスインテリジェンス、Web、OLTPなどのアプリケーションにおいて、既存のPerformance optimizedストレージよりもさらに高いストレージI/O性能を求める需要が拡大しているほか、サーバー仮想化やデスクトップ仮想化といった仮想化環境の普及と共に、仮想化環境で利用されるストレージI/O性能のボトルネック解消が強く求められるようになってきたためだという。
2014年~2015年にオールフラッシュアレイが本格的に立ち上がる
2014年~2015年の大きな特徴は、フラッシュデバイスのみを搭載したオールフラッシュアレイ(All Flash Array: AFA)の市場が国内でも急速に立ち上がってきたことだ。AFA市場は、当初は新興ストレージベンダーを主体に立ち上がったが、大手ストレージベンダーが相次いで参入したことで市場の成長が加速されている。
また、非常に高い高速性が求められる「Tier 0」(ティアゼロ)市場に加え、汎用プライマリストレージの置き換えを狙う「Tier 1」(ティアワン)市場での需要が拡大し始めたこともAFA市場の成長をけん引している。
「Tier 1」市場での需要拡大を図るために、AFAも高速性を追求するだけではなく、汎用プライマリストレージと同様に、データサービス(スナップショット、レプリケーションなど)機能の強化を進めている。
また、I/O性能を向上させるだけではなく、システム設置面積の縮小、低消費電力化、サーバーやストレージのハードウェア台数の削減など、複合的なメリットに着目してAFAを導入する企業が増加している。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ/IPDS/PCs グループディレクターの森山正秋氏は、「AFAは、特定のアプリケーションのI/O性能を高速化するだけのソリューションではなく、ハードウェアコストの削減、設置面積の縮小、電力コストの抑制などの複合的な経済効果により、国内企業のITインフラの投資パターンを変える可能性を持っ ている」と分析している。
IDCでは、2014年~2019年における国内エンタープライズストレージシステム全体の売上額のCAGRを1.3%と予測しているが、このうちI/O intensiveストレージは27.1%、Performance optimizedストレージはマイナス12.4%、Capacity optimizedストレージは8.5%と予測している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内ソリッドステートストレージ市場 2014年の実績と2015年~2019年の予測」にまとめられている。