2015年実績は前年比47.0%の高成長で218億円規模
2015年の国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場は、前年比47.0%増の217億9,600万円となった。その中で、プライベートクラウド向け市場は、前年比50.5%増の149億2,500万円と非常に高い成長を達成し、市場全体の68.5%を占めている。
企業のプライベートクラウドは、インフラの構築から運用管理のフェーズに移っており、運用プロセスの効率化や自動化、ITサービス管理のためのクラウドシステム管理ソフトウェアへの投資が増加した。
パブリッククラウド向け市場も前年比39.7%と高い成長となった。特に国内クラウドサービスプロバイダーにおいて、サービスの信頼性や運用性を高めるために、ベンダーのクラウドインフラストラクチャソフトウェア製品を積極的に採用したことが市場成長の主な要因となった。
2016年は、市場全体で前年比40.6%増の306億5,400万円になると予測している。プライベートクラウド向け市場、パブリッククラウド向け市場ともに40%以上の前年比成長率を見込んでいる。
2015年~2020年の年間平均成長率は31.6%と予測
市場全体の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は31.6%、2020年には2015年の約4倍の規模となる862億円に達するとIDCでは予測している。
プライベートクラウド向け市場は、2015年~2020年のCAGRが29.9%となり高水準の成長が続く。パブリッククラウド向け市場は、同CAGRが35.2%とプライベートクラウド向け市場を上回る成長が見込まれる。クラウドサービスの高機能化や運用性の向上にクラウドインフラストラクチャソフトウェアが活用されていくとみている。
パブリッククラウド、プライベートクラウドの双方において、オープンソースのクラウドインフラストラクチャソフトウェアのOpenStackを採用したクラウド基盤の構築が2017年頃から本格化し、OpenStackディストリビューションや機能拡張を図るためのソフトウェアの売上も市場成長に寄与するとIDCではみている。
また、クラウドインフラストラクチャソフトウェアを活用し、複数のクラウドの一元管理や拡張性の向上なども期待される。ハイブリッドクラウドは、クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場にとって、今後大きな市場機会を生み出す可能性が十分にあるとIDCでは考えている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、「これからハイブリッド化が進むクラウド環境に対して、いかに付加価値を高めたクラウドインフラストラクチャソフトウェアを提供できるかが重要なテーマになる。オープンソースソフトウェアとそこで形成されている大きなエコシステムを活用し、複数のクラウドを連携させたハイブリッドクラウドソリューションを積極的に展開していくべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場予測、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。