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IoTパートナーコミュニティがAI、センサー、ブロックチェーンなど実証実験の成果を発表

参加企業は、「IoTを実行する」意志を持つことが条件

 IoTパートナーコミュニティは、2016年5月にIoTビジネスを目的に共同で立ち上げられた組織。大手のプラットフォーマではなく、個別にIoTのビジネス化に取り組む意志をもった企業が集まり、具体的な活動をおこなうということを主旨にしているという。事務局と運営は、ウフルのIoTイノベーションセンター(センター長:八子知礼氏)が担う。

2016年におこなわれたワーキンググループは下記の7グループとなる。

  1. IoT x AI WG (リーダー:ウイングアーク 1st 株式会社)
  2. 流通WG (リーダー:オプテックス株式会社)
  3. ヘルスケアWG (リーダー:株式会社Z-Works)
  4. スマートビルディングWG (リーダー:レンジャーシステムズ株式会社)
  5. セキュリティWG (リーダー:株式会社セゾン情報システムズ)
  6. ブロックチェーンWG (リーダー:GMOグローバルサイン株式会社)
  7. 大手飲料メーカー向けWG (リーダー:ニフティ株式会社)

AI、IoTセンサー、ブロックチェーンなどの実証実験

[IoT☓AI]WG:ウイングアーク1st 武市氏/流通WG:オプテックス 中村氏/
大手飲料メーカー向けWG ニフティ 米田氏/ヘルスケアWG:Z-Works 小川氏

 最初に発表された「IoT☓AI WG」では、飲食店の駐車場の空き状況やお勧めメニューを知らせるアプリケーションの開発事例。全国には5.3万箇所の駐車場があるが、このうち「三井のリパーク」が保有する1.1万箇所の駐車場データを活用し、駐車場の空き状況、さらにそのお客に応じたメニューの提案を機械学習の分析によっておこなうというもの。

 デモでは、マイクロソフト、グーグル、Amazon、IBM Watsonの4社のコグニティブサービスの特長や、それぞれがどの用途に向いているかの解説もおこなわれた。各社のAIの比較をおこなった上で、この飲食店と駐車場サービスには、マイクロソフトのAzure Machine Learningを利用した。データを読みこませ数日後の駐車率を学習させた。また可視化にはウイングアーク1st社のMotionBoard Cloudが用いられた。

 続いて、流通WGの発表として、オイシックス(Oisix)のセンサー設置プロジェクトが発表された。吉祥寺のオイシックスの実店舗に人数カウントカメラ、行列カウントカメラや温度管理、性別・年齢センサーなどを設置し、来店者の分析、購入状況の把握から課題抽出し、売上向上につなげる検証をおこなった。リアル店舗をECと同じように、来店者数、ユニークユーザー、滞在時間などを把握することで、売り場構築のベストプラクティスを構築が実現した。

 ヘルスケアWGは、IoT導入による認知症患者への対策や介護支援を目的におこなわれた。高齢者にウェアブルデバイス(Fitbit)をつけてもらいデータを収集し、各自への支援をおこなった。高齢者に対するスマホの設定などはプロジェクトのメンバーが一人ひとり対応した。これにより、高齢者にデータをフィードバックする仕組みの問題(PCやスマホを見ないなど)や、デバイスとの相性などの課題も見えてきたという。

 ブロックチェーンWGでは、本人のみが受け取れる宅配ボックスの実証実験が発表された。これはブロックチェーン技術を活用することで、秘密鍵により宅配業者と受取人のみが宅配ボックスを開閉できるというもの。システムは、GMOインターネットが提供するPaaS型のブロックチェーンプラットフォーム「Z.com Cloud ブロックチェーン」を基盤に構築し、IoTデバイスである宅配ボックスにはセゾン情報システムズの「HULFT IoT」を導入した。

 通常のシステムと異なる、ブロックチェーンのメリットとしては、「誰がいつ、ボックスを開閉し、何を受領したのか」が半永久的に証明・保証することが可能になることだという。他にも大手飲料向け、セキュリティ、スマートビルディングなどのプロジェクトが紹介された。

テストベッドの価値は「アーキテクチャ、プロセス、セキュリティ」を学び切ること

ウフル松浦真弓氏
ウフル IoTイノベーションセンター マネージャー 松浦真弓氏

 後半では、今年スペイン・バルセロナで開催された「IOT Solution World Congress」の視察報告が、ウフルの松浦真弓氏によっておこなわれた。本イベントはIIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)主催のカンファレンスとして、欧米の代表的なIoT企業が集結するイベント。松浦氏は、インテルやシスコシステムズのキーパーソンの講演の内容、展示の内容や海外のテストベッドの報告をおこなった。

 報告によれば、展示やテストベッドそのものは特に大がかりなものではなく、シンプルなものも数多くあったという。当初、欧米のテストベッドは規模や技術レベルにおいて日本をはるかに凌駕していると予想していた松浦氏は、これは意外だったと語り、「日本のIoTの取り組みは、欧米に比べても決して遅れていない」ことを強調した。

 この視察を通じて、松浦氏は「テストベッドの価値は、IoTのアーキテクチャ、ビジネスプロセス、セキュリティを学び切ること」だとまとめた。

日本で最もスピーディなIoT検討コミュニティ

ウフル IoTイノベーションセンター所長 
兼 エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏

 締めくくりにウフルの八子知礼氏がIoTパードナーコミュニティの活動意義と半年の活動の振り返りをおこなった。

 八子氏によると、本コミュニティは38社で7つのWG(さらに2つが年明けから追加)という「日本で最も効率の良いコミュニティ」であり、半年でアウトプット事例を出せたことは大成功だと語った。またWGの事例を参加企業が横展開することで、さらにその成果が拡大することが期待できるという。

 また日本OMGが主宰するIoT団体の「i3」でも、海外進出をめざすワーキンググループの活動を開始しており、いずれ米国のインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)との合流を目指すと語った。

 こうした各社の活動は情報収集ではなく、ビジネスを作る場であることを八子氏は強調した。IoTパートナーコミュニティと、日本OMGのi3との提携によって、国内のIoT関連企業の「共創」をさらに促進していきたいと締めくくった。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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