国内SaaS型IDM/IAM市場の2016年度の売上金額は前年度比30.9%増と、規模はまだ小さいものの高い成長となった。クラウドサービスの利用増加に伴い、クラウドサービスを含めた統合的な管理における親和性の高さや管理面での一元化への需要が高まってきており、一部の先進的な企業で導入が進んでいる。
また、IoTデバイス管理の一環としてアイデンティティ情報を利用するための研究や実証実験、協業が進みつつあり、IoTの普及に伴った販売増加が見込まれることから、2021年度にかけて2ケタ成長を維持し、同市場のCAGR(2016~2021年度)は20.1%と予測している。

ITRのシニア・アナリストである大杉豊氏は、「サイバーセキュリティ・インシデントによる情報漏洩対策、企業内における内部不正の検知の他、Office 365などのSaaSによるハイブリッドなクラウド環境のセキュリティ対策としてID管理が重要な統制手段となりつつあります。従来からのSSOを活用した利便性確保の他、オープン化されたシステムでの多要素認証や高度な生体認証、行動解析によるリスクベース認証、運用の安全性の向上のための特権ID管理の需要も増加しており、アイデンティティ管理はセキュリティ運用管理の中で重要な要素といえます。今後はIoTデバイス管理のほか、トランザクションやデータを中心とした新たなアイデンティティの活用の需要が高まるでしょう」とコメントしている。
今回の発表は、ITRが発行した市場調査レポート「ITR Market View:アイデンティティ/アクセス管理市場2017」に詳細を掲載している。レポートには、IDM/IAM市場(パッケージ、SaaS)、SSO市場、フェデレーション市場、特権ID管理市場、操作画面監視市場を対象に、国内28ベンダーへの調査に基づいた2015~2016年度売上げ実績および2021年度までの売上げ予測を掲載している。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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