2021年までの年間平均成長率は14.7%で、2021年には130億円と予測
2016年の国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場は、前年比16.4%増の65億円だった。同市場の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は14.7%で、市場規模(売上額ベース)は2016年の65億円から、2021年には130億円に拡大すると予測する。
ウイルス対策やフィルタリングなどを含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場は、2016年での市場規模は29億円と国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場の45.0%を占め、2016年~2021年のCAGRでは4つの機能セグメントの中で最も高い成長率で成長し、同市場を牽引していくとIDCではみている。
また、企業におけるクラウドサービスの利用が拡大することで、今後利便性が高くモバイルデバイスに最適化されたモバイルアプリケーションの活用が拡大するとIDCではみている。これによって、モバイルデバイスは、グループウェアなどの情報系システムから基幹系システムでの活用へと拡大し、モバイルアプリケーションへのアクセス管理やアプリケーション間のSSO(Single Sign On)連携、生体認証やリスクベース認証などを組み合わせた多要素認証といったアイデンティティ/アクセス管理とモバイルアプリケーションの脆弱性管理への需要が拡大するとIDCは考えている。
モバイルデバイスの普及で「シャドーIT」へのセキュリティリスクが高まる
クラウドサービスやモバイルデバイスの利用の拡大によって、企業の情報資産は場所や時間を問わず活用されるようになる。そして、モバイルデバイスの普及に伴い、企業が許可していない個人所有のモバイルデバイスを業務で使用したり、情報資産を個人所有のモバイルデバイスに保存する、もしくは許可を得たモバイルデバイスを使った場合でも許可していないクラウドサービスに情報資産を保存することが容易にできてしまう状況にある。
企業が許可していないモバイルデバイスやクラウドサービスなど「シャドーIT」の利用によって、マルウェア感染や情報漏洩のセキュリティリスクが高まる。シャドーITによって引き起こされるマルウェア感染や情報漏洩などのセキュリティ脅威を防ぐためには、情報資産へのアクセスコントロールやユーザーの挙動分析、アプリケーションの稼働監視など幅広いソリューションが必要となる。
モバイルデバイスを活用することで、リアルタイム性や事業継続性の向上、コスト低減、グローバル化など企業競争力を高められる。モバイルデバイスを十分に活用するには、利便性が高くモバイルデバイスに最適化されたモバイルアプリケーションの活用が必要になる。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーである登坂恒夫氏は「モバイルセキュリティソリューションベンダーは、モバイルアプリケーションへのアクセス管理やアプリケーション間のSSO連携、生体認証やリスクベース認証などを組み合わせた多要素認証といったモバイルアイデンティティ/アクセス管理やモバイルアプリケーションの脆弱性管理など、モバイル環境に最適化されたセキュリティ対策の導入を促進させるべきである」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行した「国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場予測、2017年~2021年」に掲載されいる。レポートでは国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場を機能別に、モバイルアイデンティティ/アクセス管理とモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理、モバイルセキュリティ/脆弱性管理、その他モバイルセキュリティに分けて、2017年~2021年の市場規模(売上額ベース)の予測を提供している。