クラウド管理型の受容性はネットワーク規模と関連が強い
今回の調査により、企業におけるネットワーク運用管理の実態が明らかになった。企業のLANとWANで運用管理を実施できていると考える企業は、LANは約30%、WANでは約40%程度存在しているのに対して、未実施の企業も同程度存在することが分かった。また、運用管理項目の難易度によって実施状況に明確な差は見られず、実施しているかいないかの二者択一に近いことが明らかになった。
また、近年企業向けネットワーク機器市場で注目を集めるクラウド管理型ネットワークシステムに関して、その受容性についてネットワーク規模との関連性が浮き彫りになった。クラウド管理型ネットワークシステムとは、ネットワーク機器をクラウドから設定、運用管理できる製品やサービスを指すが、無線LANの管理においては、アクセスポイント20台を超えると受容性が高まることが分かった。また、受容性が最も高いスイートスポットは、「アクセスポイント21~50台」であることも明らかになった。
「配線の複雑化」「管理者不在拠点のルーター運用管理」という根強い課題
さらに、ネットワーク管理者におけるネットワーク機器ベンダーの認知状況についても調査した。最も信頼するネットワーク機器ベンダーについて純粋想起による回答を集計したところ、シスコシステムズが最も高い認知を得ていることが分かった。また、バッファローやヤマハは中堅中小企業で高い認知を得ていることや、NTTのブランドの強さを再認識する結果にもなった。
企業ネットワークの課題は、依然として多く残されている。過去の調査結果と比較しても、課題意識の高い項目はほとんど同じで、企業LANでは「配線の複雑化」、WANでは「管理者不在拠点のルーター運用管理」が最も大きな課題になっている。
IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、このような根強い企業ネットワークの課題に対して、「課題の解消こそが、ベンダーにとっての大きなビジネス機会になる。配線の複雑化に対しては、無線LANを訴求し、遠隔拠点のルーター運用管理には、クラウド管理型運用管理システムやSD-WAN(Software-Defined WAN)を訴求すべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「2017年 国内ネットワーク機器市場 企業ユーザー調査」にその詳細が報告されている。レポートでは、企業ネットワークにおける運用管理の実態とクラウド管理型の可能性企業ネットワークにおける運用管理の実態とクラウド管理型の可能性や、企業ネットワークの課題に加えて、産業用ネットワークやIoT(Internet of Things)ネットワークの利用動向についても分析している。また、「IDC Survey Spotlight:2017年 国内ネットワーク機器市場 企業ユーザー調査」では、国内企業のネットワーク管理者におけるネットワーク機器ベンダーの認知状況を分析している。