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Oracle Cloudならではの活用法からおすすめポイントまで アシスト関氏とオラクル小田氏を交えて

 オラクルが提供するパブリッククラウドサービスが「Oracle Cloud」。オラクルならではの特徴があり、最大限活用するためのコツやしっておくべきことがある。実際の顧客現場を知る二人が、谷川氏からの懸念や質問に回答する。

クラウドへの抵抗感はほぼ消えてきた――Oracle Cloudならではの活用法

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DBオンライン チーフキュレーター 谷川耕一

谷川:ここではクラウドサービスをどのように活用していくかについて話していきます。まずはデータベースとの関わりなど、自己紹介をお願いします。

関:アシストの関です。入社して10年以上Oracle Databaseに携わり、最近ではOracle Cloud一本です。

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アシスト 関俊洋氏

小田:日本オラクルの小田です。入社して20数年。Oracle Database、OS、ストレージ、ネットワークなどの仕組みに関する本も書いています。最近のコンサルティングではプラットフォームビジネスにも関わり、実案件を見ています。

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日本オラクル 小田圭二氏

谷川:最近ベンダーの動きを見ると、ますますクラウド化が進んでいるのが感じ取れます。数年前までの感覚だと、「データベースはトランザクションがあるからクラウドに持っていくなんてアホじゃないのか」という雰囲気だったのに、クラウドベンダーが次々にデータベースサービスを出し、いつのまにかクラウドでデータベースを動かすことに抵抗感がなくなってきている感触があります。

関:最近ではシステム更改や新規構築に「クラウドであること」あるいは「クラウドを見据えた構成であること」という要件が入ってきています。

小田:お客様や要件次第ですが、最近ではクラウド前提は珍しくありません。

谷川:ミッションクリティカルだとレスポンスや性能で不安感とかはありませんか?

関:弊社でクラウドのお悩みというのを調べてみました。「レスポンスが悪い」もありますが、「チューニングの仕方がわからない」なども見受けられます。その辺りのケアも必要だと感じています。

クラウド悩みの「リアル」
クラウド悩みの「リアル」

谷川:サーバーが雲の向こうだとレスポンスはいかんともしがたい。だいぶ解決できてきてるのでしょうか。

小田:解決できるものもあれば解決できないものもあります。解決できないものというのはネットワークがらみです。

関:ぼくは小田さんの本で勉強した世代なので小田さんの表現を借りると「アーキテクチャから考えろ」。クラウドに当てはめると、見える部分から迫り、勘どころを探ります。

谷川:オラクルだとオンプレもクラウドも基本的にはアーキテクチャは同じなので、ノウハウはそのまま使えるとされています。にもかかわらずチューニングの悩みが出るのはクラウドなりのチューニングの方法や作法があるのでしょうか。

関:一般的なクラウドだと性能が不足したらリソースを足すアプローチが多いですが、Oracle Cloud だと機能の使いこなしで解決できることもあります。

谷川:「金で解決すればいい」とは違うのですね。

関:PaaSのデータベースならEnterprise Editionのオプション機能が全て入っているので、ライセンスの問題でオンプレでは使えなかった機能が使えたりします。性能に有利な機能を使えば当然処理は速くなります。

小田:クラウドだとプラスアルファで必要な知識が出てきます。シェイプをどうするか、ストレージ周辺が違うのでバックアップをどうするか。今までのノウハウに加え、クラウドならではの考慮や新たなパターンがありえます。

関:昨年末ぐらいから実稼働案件が増え、ノウハウもたまってきています。

SaaS、PaaS、IaaSを組み合わせる時に有利――PaaSなら機能全部入りでお得感も

谷川:クラウドといっても、オラクルならPaaSやIaaS、ライセンス持参などいろいろあります。小田さん、整理してもらってもいいですか。

小田:大きく二つ。既存システムをクラウドへ持っていくパターンと、新規システムをクラウドで構築するパターンです。既存ならリフトアンドシフト。IaaSへシステムを移行し、その後でPaaSを活用するなど。新規だと最初からPaaSがやりやすいです。

journey to the Cloud
Journey to the Cloud

谷川:オンプレからIaaSへ移行する場合、ソフトウェアはいいとして、オンプレでやっていたバックアップとか可用性構成(RAC:Oracle Real Application Clusters)とかはどうですか。

関:ほとんどのお客さまが「できるだけ構成は変えたくない」と考えています。しかしどうせクラウドに移行するのだから、バックアップはデータベースのバックアップサービスを使うなどをおすすめしています。

谷川:これまではハードウェアを更新するタイミングで観念してOSやソフトウェア構成を変えることができました。IaaSではハードウェアの拘束から解き放たれていいのですが、一方で、ソフトウェア構成が塩漬けになってしまうのではという懸念があります。

関:確かにIaaSだと塩漬けの懸念もありますが、まずはクラウドに安全に持っていく。そこからその後の可能性を考えていただくのもいいのかなと思っています。

小田:お客様の要件やニーズとしてIaaSに乗せざるを得ないケースが結構あります。僕はジャーニーだと思っていて、まずはクラウドへ、それから少しずつ前進する。

谷川:クラウドにリフトしてから徐々にシフトしていくというイメージですか?

小田:今までのエンタープライズシステムはそれが苦手でした。チャレンジしていきたいと思っています。

谷川:もう一つ、エンジニアのスキルも懸念しています。手元にあったときはサーバーやストレージがあり、目の前で見ることができました。しかしクラウドではData GuardもRACもチェックすればできてしまいます。高可用性機能をどう実現するか実感できず、エンジニアのスキルを上げる機会を損ねてしまうのではないでしょうか。

関:ぼくも見たい派です。この間「ダンプを見たい」と言ったら「それは見られない」と言われまして(笑)。転換期に来ているのかなと思っています。Autonomous Databaseはその最たる例で、見ることをやめると新しくできることもあります。ただオラクルのクラウドは管理者権限をくれるので比較的見える方だと思います。Oracle Cloudだと見つつ任せることができます。

小田:補足すると、クラウドだとサポート問い合わせが変わります。楽する以上は割り切りも必要かと思います。そうしないとコストは下がりません。一方でディープに知る人も必要で、エンジニアは二極化していくと思います。

谷川:懸念ばかりでしつこいですが、障害時にベンダーしか解決策が分からなくて、ユーザーはただ回答を待つ場合もあります。それだとミッションクリティカル系などクラウド(IaaS)に乗せられないという懸念もあるかと思います。その辺はどうでしょう。ハイブリッドクラウドとか使い分けでしょうか。使い分けで主に考慮する点はありますか。

小田:運用やセキュリティ、あと距離ですね。システム間連携でどのような距離になるか。距離があると時間がかかります。アプリケーションサーバーとデータベースサーバーを生き別れさせてしまうような構成は難しいと思います。

谷川:ハイブリッドの提案とかはされますか?

関:結構やってます。オンプレミスでデータベースを運用しているお客様で、バックアップや災害対策だけクラウドに持って行きたいなど。こうしたご依頼は多いので、勝手に速度検証ツールを作り、お客様の環境からOracle Cloudまでのスピードを示して導入の判断に役立てています。昨年国内にデータセンターができて、スループットは結構よくなりました。

谷川:オラクルのPaaSのいいところは?

関:システムの特性にもよりますが、PaaSは止めている間はお金がかかりません。 例えば帳票を出す時だけなら、PaaSがいいですね。あとあまり新しく覚えることがない。私はOracle Databaseは8からですが、PaaSになり新しく覚えることはほとんどありませんでした。そこは楽です。

小田:ライセンス的に有利なところもあります。また、実案件でIaaSのOracle DatabaseとPaaSのOracle Databaseを比較したところ、PaaSだと最適化され性能に有利につながったことがありました。

谷川:先ほど関さんが指摘していましたが、オプションで使えるものが増えて性能に有利になるということですね。下手するとオンプレより性能が出てしまいますか?

関:パーティショニングや圧縮とかだいぶ変わると思います。

谷川:SEライセンスだとないですもんね。

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移行時のコツ、国内データセンターや「at Customer」のおすすめどころ

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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