自動化、自律型の機能には既に10年以上投資してきた
Oracle Database 18cは、前バージョンの12cから大きくバージョン番号が更新した。「今回はいきなり18cに飛びました。これはオンプレミス版とは別のクラウド専用なの? との声も聞かれます」と猿田氏。実際に11gや12cと18cはどこがどう違うのか。
「これからは、年次リリースで出すということです。その最初のリリースが18cです。これまでのように数年ごとに大きな機能をどかんと入れるのではなく、毎年少しずつ新しい機能を入れていきます。これで開発側としては、仮に今回入れることができなくても翌年には機能を入れられることにもなり、製品品質的には安定してくるはずです」(猿田氏)
Oracle Database 18cはクラウド版から先に提供されるが、もちろんオンプレミス版も順次提供される。18cへのアップグレードについては、11.2.0.3以上のバージョンから18cへ直接更新できる。18cのマニュアルは英語版が既に公開されており、現在、日本語版も手配しているところだ。今後のリリーススケジュールの情報も公開されており、現時点ではオンプレミス版は2018年7月に出てくる予定だ。
ところで、2017年のOracle OpenWorldでは、Oracle Autonomous Database Cloudが大々的に発表された。これは、イコールOracle Database 18cではない。Autonomousは、18c + Oracle Cloud + Toolで構成されるもので、18cに搭載された自動化、自律化の機能がAutonomousなデータベース・クラウドサービスにつながっていると猿田氏は説明する。
「Oracle 9iの時代から、Oracleでは自動化のテクノロジーを開発してきました。10年以上ここには開発投資をしており、ADDM(Automatic Database Diagnostic Monitor)など多くの自動化機能を既に提供しています」(猿田氏)
18cからは年次リリースでライフタイム・サポートの考え方がシンプルに
18cで年次リリースとなり、大きく変わるのが新リリースの登場タイミングとパッチ・モデルだ。「今後はリリースが毎年出てくることになります。従来のPSR(Patch Set Release)が、新機能を含んで出てくるようになったと考えるとイメージしやすいでしょう」と猿田氏。
一方パッチは1月、4月、7月、10月の四半期ごとにRelease Updateとして提供される。これは従来のBundle Patchに相当するもので、セキュリティ修正、リグレッション修正、機能修正、オプティマイザ修正が含まれる。Release Updateを当てることで、個別パッチによる修正を個々に適用するリスクと手間は大きく低減することになる。
四半期ごとに提供されるパッチにはもう1つ、Release Update Revisionsもある。こちらは従来のPSU(Patch Set Update)に相当するものだ。セキュリティ修正、リグレッション修正が含まれる。Revisionsを適用すれば、利用中のUpdateのセキュリティ状態が保たれることになる。リリース番号については来年19が登場し、2桁目がアップデート番号、3つめがリビジョンになる。
たとえば今回、18.1.0が出て、これに1つ目のUpdateを適用すると18.2.0になる。そこに1つ目のRevisionを適用すると18.2.1となる。リビジョンは、アップデートに対し2つまで提供される。また、たとえば2019年1月に出る18.5.0と18.4.1、18.3.2は、セキュリティとリビジョンは同じレベルのものとなるのだ。アップデートとリビジョン間は自由に行き来できるが、時間的に前に戻ることはできない。
年次リリースとなることでのライフタイム・サポートに対する影響だが、猿田氏は、バージョンの18および19は従来の12.2.のファミリーと同じものとして扱うことになると説明する。そう考えると18cは12.2.0.1に相当するPSRとも言える。19が出てから2年間は、18に対してアップデートもリビジョンも提供する。これにより年次リリースに移行したからといって、毎年リリースを更新しなければならないわけではない。「2年間はそのままのバージョンで使い続けて何ら問題ありません」と猿田氏。
とはいえ年次リリースになったら、実際にはどういうタイミングでアップデートやリビジョンを当てれば良いのだろうか。
「たとえば安定版を使いたいとの理由で2019年4月に出る18.4.2を使うとします。次に18.4.2と同じタイミングで出ている18.6.0の安定版と考えられる2019年10月に出る18.6.2のリビジョンを当てるという考え方があるでしょう」(猿田氏)
今回の年次リリースへの移行で、Oracleとしては必要な機能をいち早く製品に反映させられるようになる。そういう俊敏性と共に、品質の向上を図れるように定期的にアップデート、リビジョンをしっかりと提供する。これで「リリースとパッチの考え方については、だいぶ整理された感じです」と猿田氏。既にこのリリースとパッチのモデルに関する詳しい情報も公開されているとのことだ。