本格的な導入期に入ったRPA市場
RPAとはRobotics Process Automationの略で、ソフトウェア上で自動操作を行うロボットにより、プロセスの自動化を実現する方法の総称です。2018年になり、この言葉が世の中に随分浸透してきたと感じています。2年前までは、言葉だけが先行するバズワードの雰囲気が漂っていましたが、政府が後押しする「働き方改革」を背景に、企業の人材不足を解消する強力なソリューションとして認識されるようになりました。
実際、日本でも多くのRPA導入事例が発表されており、RPAの市場規模は拡大し続けています。富士キメラ総研によると、国内RPA関連市場規模(※1)は2016年度の15億円から、2030年度には147億円と約10倍に達する見通しです。一方、世界のRPA市場(※2)は、2016年の2億7,100万ドル(日本円で約300億円)、2017年の4億4,300万ドル(同490億円)から、2021年には12億2,400万ドル(同1,350億円)と、年平均成長率35%と高い伸びを示すことが予想されています(HfSリサーチ社調べ)。
※1. 富士キメラ総研プレスリリース<RPA関連ツール(実行ツールや管理ツールなど)とソリューション(システム構築やコンサルティングなど)の合計額>※2.HfSリサーチ社調べ
なぜRPA市場は急拡大したのか
日本国内の労働人口が減少し続ける中、一人当たりの労働量は増え続けています。一人当たりの生産性を向上するためにはどうすればよいでしょうか。2015年以前は、その問いに対する答えのひとつが「システム開発」であり、当時はまだRPAという市場は広く認知されていませんでした。では、その後、わずか2年余りでなぜRPAは急拡大したのでしょうか。これには、主に2つの理由があると考えられます。
1つ目の理由は、導入の容易性です。RPAで導入されるデジタルレイバー(以後、「ロボ」と呼称)は、これまで人手でやっていた作業を自動化手順に置き換えるものであり、ヒューマンオペレーター(人間)が作業するのと同じようにデスクトップPCとID権限を用意すればすぐに開始できます。小規模、短期間、さらに低コストで導入できるソリューションとして、少しでも早く効果を出したい業務部門には非常に魅力的に映ったわけです。