SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

デジタル変革で、メインフレームふたたび

 ここ最近は、ハードウェアに関する記事を書く機会が大きく減った。そんな中、ゴールデンウィーク中に米国で開催されたDell Technologies Worldでは、より長く最新テクノロジーに対応できるように筐体から見直したモジュラー型サーバー「PowerEdge MX」の発表があった。また3月に行われたIBM THINKでも、POWER 9プロセッサベースのマシンでNVIDIAのGPUをより効率的に使えるようにするための協業の話も飛び出し、ちょっと新鮮な気分を味わった。

IBMは自社ブロックチェーンサービスのプラットフォームにIBM Zを採用

cap
IBM THINK 2018で展示されていたz14 デュアルフレームのマシン
(本文中に出てくるz14 Model ZR1とは別)

 ところでハードウェアの話題と言えば、ここ最近ちょっと気になっているのがメインフレーム。その代表はもちろんIBMのフラグシップマシンIBM Zだろう。言わずもがな、これは「レガシー」とも表現されるマシンだ。クラウドの時代に何を今更メインフレームかと思われるかもしれない。とはいえIBMは、2018年4月にZの新モデル「IBM z14 Model ZR1」および「IBM LinuxONE Rockhopper II」を発表している。これらは、「クラウドコンピューティングに最適な最新のメインフレーム」と位置づけられている。

 IBM z14 Model ZR1は、クラウドデータセンターやプライベートクラウド環境に容易に配備できるよう、業界標準の19インチラックに対応したシングル・フレーム・デザイン筐体を採用している。つまり、既存のデータセンターに設置されている19インチラックにメインフレームを搭載できると言うこと。ストレージやネットワークなどをメインフレームサーバーと同じラック内に格納でき、それで「コンパクトにまとまったデータセンター」を実現できる訳だ。結果的に、メインフレーム環境のキャパシティ増加と設置スペース削減を両立している。

 このようにクラウド時代にも対応するメインフレーム製品をIBMが新たに投入するのは、いまだ世界中でメインフレームが重要なトランザクション処理を担っているから。クレジットカードのトランザクションの86%、年間約8兆ドルの処理がメインフレームで行われている。またATMの290億トランザクション、1日あたり約50億ドルの処理もIBMメインフレームの上で実行されている。IBMメインフレームが処理している1日あたりのトランザクション量は300億以上あり、これはGoogleの検索処理をも上回っているそうだ。

 この堅牢なレガシーサーバーにオープンなLinuxを載せているのが、IBM LinuxONEだ。実はIBM Zでは、2000年頃からすでにLinuxが稼働している。既存システムの更新ではなく新規導入されるメインフレームの用途としては、Linuxサーバーの統合プラットフォームと言うのが多いとも聞く。現状対応しているLinuxディストリビューションはRed Hat、SUSE、Ubuntuで、それらの上ではJavaが動き、MySQLやPostgreSQLなどのオープンソースソフトウェアももちろん利用できる。国内でも三菱UFJ銀行が2,100台のPCサーバーを4台のz/Linuxに統合しており、みずほ銀行でも同様に100台以上のサーバーをZに統合している事例がある。

 またIBMが提供しているブロックチェーンのソリューションにおいては、クラウドで提供する「IBM Blockchain Platform」でIBM LinuxONEが稼働している。エンタープライズ用途でブロックチェーンサービスを提供するためには強固なセキュリティ性が求められ、全てを暗号化するZをあえてIBMはプラットフォームに選択しているのだ。具体的にはZの上でSecure Service Containerを動かし、それを使ってHyperledger Fabricを構成している。セキュリティ以外にも高いパフォーマンス、可用性、拡張性を評価しメインフレームを採用している。

次のページ
エンタープライズ企業のデジタル変革ではメインフレームが役に立つ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/10767 2018/05/24 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング