ガートナーが2017年10~12月に従業員数20人以上の日本企業を対象として実施した調査の結果、30%の企業は、データ利活用の専任組織あるいは専任の担当者を設置していることが明らかになった。一方で、その必要性を感じていながら未設置であると回答した企業の割合は、設置している企業を上回る39%であり、設置の必要性すら感じていない企業が30%あることも明らかになった(図1)。
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 主席アナリストの一志達也氏は、今回の結果について次のように述べている。
「今回の調査結果からは、企業がデータ活用に関心を寄せ、必要性を感じている様子が見て取れます。一方で、30%もの企業が専任組織の必要性を感じておらず、設置を計画・検討中とした企業もわずか2%にとどまっています。こうしたことから、専任の組織や担当者の必要性は理解されておらず、世間でデータ活用が声高に叫ばれている割には、企業における具体的な取り組みは進展していないと考えられます。実際の取り組み状況については、企業規模による意識の差は見られますが、大企業だから進んでいるとは言い切れない状況です」。
この調査では、ユーザーが社内のデータを活用する際に必要とするデータ(種類・量)を提供できているかについても尋ねている。その結果、46%の企業が提供できていると回答しているものの、情報ガバナンスの整備については、できているとする割合が14%と、他の項目に比べて大幅に低いことが明らかになった(図2)。
また、データ品質の維持・改善は企業にとって長年の課題であるものの、過半数となる54%は、これに特に取り組んでおらず、取り組みを行っている企業でも、その多くが手作業による改善を行っていることが明らかになった(図3)。
この結果に関して、一志氏は次のように述べている。
「デジタル・ビジネスの時代において、データは重要な資産であり、それをいかに活用するかという施策次第で、企業のビジネスの成否が分かれると言っても過言ではないでしょう。ただし、その取り組みは決してIT部門だけの任務ではなく、また、ビジネス部門が単独で行えるものでもありません。データ活用のライフサイクルには、高度なデータ分析の作業以外にもさまざまなタスクがあり、最終的にはそれらを個別に担う専任組織が求められます。海外では既に、データに責任を持つ最高データ責任者(CDO)とデータ活用の専任組織がメジャーな存在となっています」。
「しかしながら、今回の調査で専任のCDOがいると回答した日本企業はわずか1%であり、兼任で設置している、近い役割の役員がいる、と回答した企業の割合を合計しても20%に満たないのが実情です。それどころか、CDOを知らない企業が25%も存在し、取り組みが進んでいないだけでなく、認知度も低い状況にあります。データとアナリティクスに携わるITリーダーは、経営層やビジネス・リーダーにデータの重要性や価値を説いて意識改革を促し、役割を明確に定めた組織づくりや人材育成を支援することで、データ主導のビジネスを行う企業への変革に貢献しなければなりません」。
なお、ガートナーは6月14~15日、「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2018」を開催する。サミットでは、国内外のアナリストが、信頼の置けるデータ、頼れるアナリティクス、それらから得た知見に基づく意思決定によって企業の未来を切り開くためのさまざまなコンテンツを提供するという。