RPAとは、人間の仕事をソフトウエアロボットに代行させる業務自動化のアプローチを指す。「ルーティン作業を人間よりも素早く正確に処理できる」「日夜を問わず効率的に業務処理できる」といった特性から、業務効率化のみならず「経営変革」の有効な手段としても注目されている。
日本でも、政府が推進する「働き方改革」や、労働人口の減少を補填する手段としてPRA導入を検討する企業が増加している。ただし、その適用範囲は、経理や人事部門の給与計算といったバックオフィス系の業務が大半だ。
実はこの「RPA」というアプローチを最初に提唱したのは、Blue Prismのチーフエバンジェリストであるパトリック・ギアリー(Patrick Geary)氏である。2001年設立のBlue Prismは当初、ロンドンに本拠を置く国際金融グループのバークレイズのみを顧客とし、金融業務の自動化ソフトウエアを開発していた。同社が大規模な金融機関を数多く顧客に有するのは、こうした経緯があるからだ。現在は世界700以上の大規模企業がBlue Prismの製品を導入している。なお、同社日本法人は2017年に設立された。
RPAは「技術を顧客ニーズに合わせる」アプローチ
今回掲げられたイベントテーマは「Digital Visionaries(デジタルによる先見性)」だ。RPAを活用し、これまで手作業で行ってきたデータの変更/管理や非構造化データの入力作業などを自動化することで、作業処理時間の短縮や、それに伴うコスト削減を目指す。
実際、Blue Prismの顧客である英国の大手モバイル通信会社テレフォニカ O2は、顧客データベース内のSIM情報変更作業や顧客クレジットの確認といった作業を自動化することで、80%以上の顧客問い合わせ件数を削減できた。同社は3年間で650~800%のROI(投資利益率)を見込んでいるという。
カンファレンス冒頭に登壇した、BluePrismでCEOを務めるアレスター・バスゲート(Alastair Bathgate)氏は堅調なビジネス成長を強調するとともに、同社の技術提携プログラムを紹介した。これは、マイクロソフトやIBM、グーグル、AWS、VMware、シトリックスといったインフラ/クラウドベンダーと提携し、「ベスト・オブ・ブリード」で製品を提供するアプローチである。
イベント期間中にBluePrismは、マイクロソフトやGoogleとの連携強化を立て続けに発表。マイクロソフトとの提携では、Windows Azure/Azure Machine Learning/AIプラットフォーム上で動作する分析機能とBlue Prismとを連携させる。これにより、利用者はマイクロソフトの人工知能機能を使いながら、Blue Prismを活用できる。また、Googleとの提携では、Google Cloudが提供する機械学習/データアナリティクスツールをBlue Prismの顧客に提供する。ちなみに、Blue PrismはAppian、Splunk、IBM Watsonなどとも標準で連携している。
こうした技術提携プログラムについてバスゲート氏は、「顧客のどのようなシステム環境に対しても(Blue Prismの製品を)適応させることが第一義であるからだ。自社で機械学習機能を開発し、製品の一機能として提供するよりも、顧客が利用したい機械学習機能とシームレスに連携できるほうが(顧客にとって)価値がある。われわれはRPAベンダーとして確固たる地位を築いており、RPA製品の開発にフォーカスして投資を続けていく」と説明する。
CTO(最高技術責任者)を務めるデビッド・モス(David Moss)氏も、「技術を顧客ニーズに合わせるほうが、PRAの可能性を拡大する。大手企業が莫大な投資をして開発した(人工知能などの)機能と張り合うつもりはない」と強調した。