テーマは「Evolution」(進化)
フリマアプリとして急成長を遂げたメルカリ。ダウンロード数は1億を超え、月次アクティブユーザー(MAU)は1000万、流通金額は年間3700億円を超えて、巨大な経済圏を築いている。今やメルカリは、AI、機械学習、ブロックチェーン、量子コンピューティングなどの最先端テクノロジーに取り組むグローバルな「テックカンパニー」をめざしているという。
「メルカリはこれまで“誰もが使いやすく”テーマにしてきましたが、これからは“誰も出来なかったことが出来る”を目標にします。」
「Mercari Tech Conf 2018」の冒頭で、メルカリ取締役CPOの濱田優貴氏はこう述べた。
メルカリとは、商品を出品する個人と、買い手という個人をつなぐC2Cサービスだ。徹底的なUI/UXへのこだわりや、積極的なマーケティングによって、その優位性を築いてきた。サービスを成長させてきたコアは、出品時の写真を解析し商品名などを自動で入力できる商品画像認識、機械学習により偽ブランドや違反商品の検出、米国では商品の重さを推定するといったテクノロジーだ。
濱田氏は、テックカンパニーとしての目標はその先にあると述べ、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」というSF作家のアーサー・C・クラークの言葉を紹介した。いつか、写真を撮ることも、検索をすることもなく、脳波で人と人とが物品を交換する時代がくるかもしれない。そんな「Evolution」(進化)の世界を、メルカリは本気で考えているのだという。
テックカンパニーの条件は「テクノロジーで世界を変える」こと
濱田氏は、テックカンパニーには大きく2つの条件があるという。
第一に、「テクノロジーを通じて世界を変えること」。GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)がそうであるように、ビジネスとして成功するだけではなく、世界のあり様を変えてしまうことだ。
第二は、「世界中の開発者に使われるテクノロジーを作る」こと。GoogleがAIやビッグデータの技術を、AmazonがAWSを生んだように、自社のビジネスの傍らで生まれたものをオープンソースなどで公開していく──そんな役割をめざしているという。
そしてメルカリの追求するテクノロジーの目的とは何か? それは、「Value Discover」(価値の発見/出会い)と「Value Exchange」(価値交換の基盤)だと、濱田氏は再定義する。
取引が成立するためには、「売りたい人」と「買いたい人」が適切にマッチングされ、安全な交換がおこなわれなければならない。
UberやAibnbなどのC2Cのプラットフォームビジネスでは、「信頼」が至上命題だ。 そもそも、知らない人の車に乗り、知らない人の家に泊まることには不安がつきもの。メルカリも同じく、見知らぬ者との間で売り買いすることには、不安がつきまとう。だからこそメルカリは、その不安を除去し、信頼の基盤を作るためのテクノロジーに注力してきたのだという。さらに今後は「メルペイ」など価値交換と信用に関わる新たなテクノロジーに取り組む。そして、2020年までに1000人のエンジニアを採用すると濱田氏は明言した。