今やほとんどのITベンダーの製品やサービスに、何らかAIが取り込まれている。これはテラデータも例外ではない。Teradata Everywhereのプラットフォームとして発表されたTeradata Vantageにも機械学習やディープラーニングの分析エンジンが搭載されており、AIを活用するためのさまざまな関数がすぐに利用できるようになっている。
AIには過度に期待せずに適用すべきところを見極める

Teradata Analytics Universe 2018の2日目のゼネラルセッションに登場したテラデータのCTO スティーブン・ブロブスト氏は、機械学習は自動化のモデルとしては強力なものだと語る。機械学習を行ってインサイトを作り、それを使いプロセスを自動化する。この機械学習の95%くらいは、過去何十年も利用されてきた数学的なアルゴリズムとほぼ同じものを利用する。残り5%くらいがディープラーニングで、これはより高度な数学モデルを使う。
「ディープラーニングで、機械学習の次のステップに行くことができます。それが今注目されているAIの世界です。でもこの場合のAIと言う言葉は、マーケティング用語に過ぎません。これにはたくさんの意味が含まれています。テラデータでは、その中のアナリティクス部分に目を向けています」(ブロブスト氏)
今やクラウドよりもAIの話題のほうが多い。ガートナーのハイプサイクルでも、AIに対する期待は高いところにある。多くの人にとって、AIは「何でもできる賢いもの」との認識がある。そのようにAIに対する期待が膨らみすぎると、あとは失敗するしかなくなる。期待が大きすぎてそれに答えられないとなると、自分たちがAIの幻覚を見ていたことに気付き、あとは落ちていくしかなくなるのだ。
似たような過程を辿っている技術に、Hadoopがある。Hadoopに対する期待が高すぎたために、今ではその多くが失敗することになってしまった。とはいえこれは、AIやHadoopなどの技術そのものが良くなかったわけでない。
「Hadoopも期待値を変えればいいのです。どこで使えば良いかを十分に考えれば、1つのデータ戦略となるでしょう。Hadoopがデータの問題に対する全ての解決策にならずとも、1つの課題の解決策にはなるのです」(ブロブスト氏)
ディープラーニングも同様で、これを使うことでどこで価値が生まれ、そのために何をすべきかを考える必要がある。ディープラーニングは市場で今大きな話題となっており、既にテラデータの多くの顧客企業でも利用を始めている。そういった事例の中から、どんな使い方なら上手くいき、上手くいかないのはどういうケースなのかを見極めていく必要があると指摘する。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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