匿名性の高さから犯罪の温床に…
ダークウェブとは、閲覧するために特定のソフトや設定、認証が必要なネットワークに存在するWebコンテンツを指す。一般的な検索サイトから見つけられず、閲覧するには匿名通信システムである「Tor(The Onion Router)」専用のブラウザが必要だ。匿名性が高く利用者の特定も困難であることから、犯罪の温床になっていると指摘されている。
PwCサイバーサービス合同会社 サイバーセキュリティ研究所所長の神薗雅紀氏は、「ダークウェブには専用ブラウザを利用して通信を暗号化し、ブラウジングで情報が抜き取られない『秘匿通信』と、サーバのIPアドレスを隠してサーバの場所を特定できない『Hidden Service』という特徴がある」と説明する。
Torはもともと軍隊で利用されていた技術で、異常な検閲などから情報提供者を守る役割を果たしていた。神薗氏は「Tor自体は悪い技術ではない。しかし、匿名性が高いことから、現在はクレジットカードのクレデンシャル情報や、攻撃によって流出した仮想通貨、違法ドラッグの売買が(Torを利用する)ダークウェブで行われている」と指摘した。
多くのダークウェブは、摘発を避けるため3週間程度でアドレスを変更するので、追跡が難しい。PwCのサイバーセキュリティ研究所では、ダークウェブの動向を調査するため、Torのアドレスを収集する11台のハニーポット(攻撃の動向を把握するために仕掛けるおとりシステム)をグローバルに設置し、3万2307件のアドレスを収集・分析した。その結果、ダークウェブで活発なやり取りがあるのは、「ドラッグマーケット」「ファイルアップロードサイト」「ポルノ」「フォーラム」「検索サイト」であることが明らかになったという。