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リーガルテック入門

できる!法律調査。リーガル・リサーチ入門 (1)法令


 新年度をむかえ、あらたにリーガル・リサーチを行う立場となった方も多いでしょう。そこで今回は、日本法をインターネットで調査する方法をまとめます。リーガルテックの基盤ともなる、政府の法令検索システムの現状も確認します。

リーガル・リサーチとは

  リーガル・リサーチとは、法律問題を解決するために、事実や法令等の情報を収集し、それらを、関連づけ評価してゆく一連の作業である。

 たとえば、裁判中の弁護士であれば裁判官を、新商品の適法性が求められている法務パーソンであれば直属の上司もしくは将来の顧客や投資家たちを、説得してある種の共感を獲得し、求める結果(裁判に勝つ、商品をヒットさせる)を実現するために、リーガル・リサーチは行われる。ここでは、問題解決に資する情報が何か、そこからどのようなことが導けるのかなど、論理的関連性が不可欠となる。

 このような論理的な収集作業にはテクノロジがよく馴染むから、今やインターネットを通じてリサーチ対象は無限といえるほどに開かれている。しかし、だからこそ適切な調査手法を採らなければ、干し草の山から針を探すような事態にもおちいる。リーガル・リサーチにおいては、確答がない、さらには答えだとされてきたものが実はそうではない、といった判断のもとに、不存在証明を行ったり新たな価値を創造する作業も必要になる。

 一般的にリーガル・リサーチは、調査対象別に法令・判例・その他という、論理的説得力の順番で論じられる。本稿でもこれに則ったかたちで、おおよそ下記の項目に触れてゆく。

法令検索の概要

 法令の検索は法律調査の出発点だ。法律問題が生じると、適用される法令の存否、その法令のどの文言が関係するのか等々、明らかにすることが必須になる。既知の論点であるならば簡単な確認作業になるが、未知の分野だったり法改正がなされた場合などは、時間や思考 というコストを費やすことになる。

e-Gov法令検索 …一般的な現行法令の検索ならココで

 たとえば、買戻実行の条文を単に確認したい、というときなら、

  • 机の上の書籍版の法令集(たとえば三省堂「模範六法」)で民法583条を開く
  • インターネットで総務省提供e-Govの法令情報で民法583条を開く

 いずれも時間をかけずにアクセスできて、(紙の六法やPCを所持していれば)コストはかからない。

e-Gov

 ここであらためて定義すると、法令とは、国会の作る「法律」と行政機関の作る「命令」をいう。(もっと広い概念をいうこともあるものの、この狭い意味での)法令を探したいときに利用できるのが、総務省提供の「e-Gov(イーガブ)法令検索」だ。

 中央省庁内のシステムを2001年4月インターネット上に公開し、2016年10月からは「我が国で初めて、政府が自ら責任をもって正確性を担保・認証した法令のデータベース」として公開されていたものだが、これが2017年6月のリニューアルで格段に利便性が向上している。

 従来、総務省が官報をもとに月1回の更新を行っていたところを、担当府省で内容確認された法令データを随時に公開することになった。また、新たにXML形式でも提供され、個別の法令は画面右上「XML形式ダウンロード」からワンクリックで入手できるし、バルクなら現在15回のアクセスで全法令データをダウンロードできる。「これにより、独自の法令DBをもたない中小の企業等も、e-Govの法令データを利用して、様々な アプリ開発が可能に」なった(総務省2017年6月23日付報道資料)。

※ 旧憲法下での、勅令・閣令も閲覧可能

e-Govと紙の六法について

 ところで、ネットが普及する以前(20世紀?)には、法律に携わる者であれば冊子媒体の「六法」をデスクに置き、背中の書棚にはもっと厚みのある六法全書等を並べているというのが、よくある風景だった。しかし、例えば岩波書店の2013年「六法の刊行終了にあたって」でも述べられているとおり、「インターネットの普及等により条文や判例へのアクセスも多様化」して、紙の独壇場であったところがデジタル優位に推移している。紙の六法が絶滅してしまうとはにわかには考えられないものの、2017年にリニューアルされたe-Govと比較してみると、デジタルネイティブにとっては紙媒体は図書館で保存するもので、手元に置く必要性が認識できないことも理解できる。

▼e-Govのメリット

  • オープンアクセス(無料)
  • 携帯性(たとえば三省堂「模範六法」では厚さ8㎝・2㎏)
  • 収録量の限定がない(e-Govは8,000法令以上収録。「模範六法」では423件、「六法全書」844件。)
  • 適宜になされる更新
  • 引用や二次利用が容易(e-GovではXML形式もAPI でダウンロード可)
  • 多様なキーワード検索が可能

▼紙のメリット

  • 関連条文や判例等の付加情報によって、適切な法文の理解ができる
  • 利用頻度の高い条項であれば、思考を中断させずに素早くアクセスできる
  • 付箋や書込み等の加工が自由にできる

次のページ
官報 …新たな規定の最終確認

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この記事の著者

青木モリヤ(アオキモリヤ)

リーガルリサーチャhttp://www.itlaw.tokyo/ 一般企業勤務後、法律事務所でリーガル・リサーチを担当。 法律の解釈とともにメタデータ管理に関心を持ち、各方面で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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